十月二十日
明けてますます風|募《つの》る。海も空も灰色に似て一つのごとし。午《ひる》に至りて、船大きく波に揺られ、再び嵐に巻きこまる。波の打ちこみ激しく、たちまち船倉に三尺四尺とアカたまり来たる。一同念仏をとなえ心一つにしてアカを汲《く》み出せど、再びの嵐に心|萎《な》え、泣き出す水主《かこ》幾人もあり。慰めん方なし。
明けてますます風|募《つの》る。海も空も灰色に似て一つのごとし。午《ひる》に至りて、船大きく波に揺られ、再び嵐に巻きこまる。波の打ちこみ激しく、たちまち船倉に三尺四尺とアカたまり来たる。一同念仏をとなえ心一つにしてアカを汲《く》み出せど、再びの嵐に心|萎《な》え、泣き出す水主《かこ》幾人もあり。慰めん方なし。