人数|僅《わず》か五人となりたる故、飲み水に困らず。らんびきも久しくなさず。これ喜ぶべきことか、悲しむべきことか。この頃食欲とみに衰う。
十月十日
外は雨なりしと。膚《はだえ》寒くなりたり。
去年の今日、熱田を出でしが、そのこと言う者なし。吾《われ》も言わず。今日も一日、部屋に臥したり。
外は雨なりしと。膚《はだえ》寒くなりたり。
去年の今日、熱田を出でしが、そのこと言う者なし。吾《われ》も言わず。今日も一日、部屋に臥したり。
十月十一日
筆を取るさえ物憂《ものう》し。足痛し。歯ぐきより血出でて生臭《なまぐさ》し。
筆を取るさえ物憂《ものう》し。足痛し。歯ぐきより血出でて生臭《なまぐさ》し。
十月十二日
お紋——南無阿弥陀仏《なむあみだぶつ》。
お紋——南無阿弥陀仏《なむあみだぶつ》。
十月十三日
お琴、甚一、父上。お紋。さらばさらば。
お琴、甚一、父上。お紋。さらばさらば。
十月十四日
宝順丸、ああ——
宝順丸、ああ——