質問
「月」が左側にないのに「つきへん」というものがあり、左側にあっても「つきへん」といわないものがあるのはなぜですか?
こたえ
「期」という漢字の「月」の部分と、「肝」という漢字の「月」の部分は、見掛け上同じ形をしています。しかし、「肝」という漢字の「月」の部分は、本来は「肉」という字です。「肉(にく)」が偏(へん)になるときには「月」の形になり、肉月(にくづき)と呼ばれるのです。一方、「期」という漢字の「月」の部分は、もともと「月」であり、「月(つき)」または「月偏(つきへん)」と呼ばれます。「にくづき」と「つきへん」とは同じ形ですが、別々の成り立ちをもっており、意味上の関係はありません。「つきへん」を部首とする漢字は「朗」「期」「朧(おぼろ)」など月(天文的事象)や日にち(暦に関することなど)に関わることが多く、「にくづき」を部首とする漢字は「脚」「腰」「肥」など身体部位やその状態に関係することが多いといえます。また、「舟」の変形である舟月(ふなづき)も、通用字体では「つき」や「にくづき」と同じ形になります。「ふなづき」は、「服(もとは舟の添え板の意味)」のように、舟に関係する漢字をつくります。
一般に、「偏」とは〈漢字の左側の位置を占めるもの〉を言いますが、「○○偏」と呼ばれるものが常に必ず漢字の左側にあるというわけではありません。漢字によっては、冠(かんむり)や脚(あし)・傍(つくり)などになる場合もあります。また、「にくづき」は、一般に、部首として「偏」の分類に含まれるものです。「偏」が必ず「○○へん」、傍が必ず「○○つくり」などの名称をもつわけではありません。