質問
なぜ「焼肉定食」は四字熟語ではないのですか?
こたえ
「行雲流水」、「佳人薄命」、「弱肉強食」などの漢字四文字でできている熟語を〈四字熟語〉と呼んでいます。同じように漢字四文字からなる語でも「国語学者」や「焼肉定食」は四字熟語とは呼ばれません。
そもそも「熟語」は、(1) 複数の単語が結合してひとまとまりに機能している語(=複合語)、または、(2) 通常、複数の漢字によって表示される語(=熟字)という意味で用いられます。ですから、熟語であるという点では、四字熟語と「焼肉定食」とは同じものです。
四字熟語が「焼肉定食」などの漢字四文字で表示される語と異なるのは、四字熟語には物語があるということです。一般に、四字熟語には、由来として特定の事情(主に故事)が存在し、複雑で微妙な含意(教訓など)を発生するものと考えられます。
したがって、「焼肉定食」が四字熟語でないのは、焼肉の定食をめぐる気の利いた物語がない(なかった)ために、何らの人生の教訓も得られそうにないからだということになるのではないでしょうか。ただ、四字熟語の背景となる物語には、古い時代の文献に確認されるものだけでなく、比較的新しい民間の伝承に由来するものもあるようですから、今後「焼肉定食」が四字熟語にならないとは断言できませんけれども。