「紀元前5世紀の時代によくあんなに立派なものを作り上げたものだと思います。」の“あんなに”を“あんな”に変えたら、意味が違うのでしょうか?
こたえ
「あんな」を、連体詞「あんな」と見るか、形容動詞(ナ形容詞)「あんなだ」の連体形(特殊な活用形)と見るかなど、いろいろ難しいことはあるかと思いますが、意味ということで言えば(この場合は)ほとんど変わらないと思います。
ただ、「に」がつくことで、具体的な様子を静的に捉えて言及しているという意味合いが感じられるとは言えるのではないかと思います。これは、助詞の「に」に、特定の状態を静的に捉えて言う用法があることと関係しているように思います。たとえば、「ぴかぴか光る」と「ぴかぴかに光る」とでは、「ぴかぴか光る」が、〈光る〉ということを動きとして捉えて(その様子を)いうのに対し、「ぴかぴかに光る」は、〈光る〉という状態を静的に捉えて(その様子を)いうことになります。ですから、それ自体が光っている(自ら光を発している)場合には「ぴかぴかに」とはいいにくいと思います。
車を洗ったので、ワックスで ぴかぴか/ぴかぴかに 光っている。
クリスマスツリーの電飾が ぴかぴか/??ぴかぴかに ぴかぴかに光っている。
また、「あんなに店があるとは知らなかった。」と「あんな店があるとは知らなかった。」とでは、意味が違います。
「あんなに店があるとは知らなかった。」=店がたくさんあった
店(複数)の存在を言っている(事柄の静的な把握)
「あんな店があるとは知らなかった。」=その店で何か大変な経験をした(良いか悪いかは文脈による)
店(単数)での出来事や体験を言っている(事柄の動的な把握)
これは、「あんなに」が「ある」に係るのに対して、「あんな」が「店」に係るからでしょう。
店があんなにあるとは知らなかった。
*店があんなあるとは知らなかった。