質問
「叙想的テンス」とは何ですか?“ここにあった”とかの「た」ですか?
こたえ
現在のこと(〈いま・ここ〉で起こっていることがらの表現)であるにもかかわらず、一般に過去のテンスである「た」で表現するものを、寺村文法の術語で「叙想的テンス」というのではないかと思います。
「さあ、安いよ安いよ。買った。買った。」とか「邪魔だ。とっとと帰った、帰った。」のように強く命令する「た」とか、「約束の場所って、たしかここだったよね。」「『ゆううつ』って漢字、『憂鬱』でよかったっけ?」のように確認や念押しの「た」などが例でしょうか。
「ここにあった。」の「た」も、〈いま・ここ〉で起こった〈発見〉を「た」で表現しているので「叙想的テンス」といえると思います。発見に関しては、「あれ、ないぞ?ああ、あった、あった。ここだ、ここだ。」のように「た」で表現します。これは〈思い出す〉したときにも同じで、「ああそうだった。今日が約束の日だった。」のように言います。