新型の受精卵診断 130人に
7月11日 14時45分
神戸にある産婦人科の診療所が体外受精でできた受精卵の染色体を体内に戻す前にすべて調べる新しいタイプの受精卵診断をおよそ130人の女性に実施し、これまでに19人が出産したことがわかりました。
受精卵診断を行なったのは、神戸市中央区にある大谷レディスクリニックの大谷 徹郎(てつお)院長です。大谷院長によりますと、体外受精でできた受精卵の染色体すべてに異常がないかを調べる新しいタイプの受精卵診断をことし5月までに、女性129人に対して行ない、これまでに19人が出産したということです。
この受精卵診断は、すべての染色体を調べることができるため、一部しか調べられなかったこれまでの方法に比べ、異常を見つけられる可能性が高まるということです。
「年齢が高くて卵子が老化して妊娠しにくい、あるいは、流産(りゅうざん)してしまうという方の体外受精の妊娠率を上げて、流産率を下げることもできる治療であると、そういう意味で大きな意義があると思います。」
受精卵診断は、生まれてくる子どもに遺伝性の病気がないかを調べたり、男女の産み分けに使ったりすることが可能で、命の選別につながるという批判もあることから、日本産科婦人科学会は、重い遺伝性の病気などに限ったうえで、学会の承認を得て行なうことを指針で定めています。
今回の受精卵診断について、日本産科婦人科学会の小西 郁生(いくお)理事長は、「学会の指針で決めた事前に申請し、承認を得るというルールを守っていないのであれば、重大な問題だ。学会として事実関係を確認していきたい」と話しています。