重い熱性けいれんで「てんかん」
7月16日 5時38分
幼いときに、インフルエンザなどで重い熱性けいれんになると、脳の一部で神経回路が発達せず、てんかんを発症しやすくなるとする研究結果を東京大学のグループがネズミを使った実験をもとにまとめました。
東京大学薬学系研究科のグループは、てんかんのうち、脳の海馬と呼ばれる部分で、神経回路に異常が生じているタイプに着目し、ネズミを使って発症の仕組みを調べました。
神経回路が発達するのは、インフルエンザなどで熱性けいれんになりやすい幼い時期のため、生まれてまもないネズミ16匹に人工的に重い熱性けいれんを起こしたところ、成長後、いずれも脳波に異常が現れ、半数でてんかんの発作を確認しました。さらに、海馬では、成長とともに移動する神経細胞が特定の神経伝達物質に過剰に反応し、本来の場所に到達できていないことがわかったとしています。
研究グループでは、「重い熱性けいれんになると、海馬で神経回路が発達せず、てんかんを発症しやすくなる」と結論づけています。
そのうえで、「重い熱性けいれんの治療で使う薬の大半に、この神経伝達物質の働きを強める作用があることから、薬の投与で、てんかんのリスクが高まるおそれがある」と指摘しています。
「私たちのデータはラットですから、これをヒトでもきちんと疫学的な調査を行なって、現在の治療法をきちんと見直すという必要があるように思います。」