証券業界 揺らいだ信頼どう回復
7月27日 4時42分
証券会社から漏れた企業の増資情報をもとに相次いでインサイダー取引が行われた問題は、証券最大手「野村ホールディングス」の経営トップが辞任する事態に発展しました。証券業界は、今後、大きく揺らいだ信頼をどのように回復するか厳しく問われることになります。
「一連の事案につきまして、ど重く受け止めております。」
きのう開かれた野村ホールディングスの記者会見、営業担当の社員が接待などを通じて密接な関係にあった顧客に対し、企業機密にかかわる増資の情報を漏らしていた可能性が高い事例が新たに複数あったことを明らかにしました。
そのうえで、グループトップの渡部 賢一(わたなべ けんいち)CEO最高経営責任者らの辞任、そして後任のCEOに永井 浩二(ながい こうじ)野村証券社長が就く経営の刷新策を発表しました。
企業の増資をめぐる一連のインサイダー取引が発覚したきっかけは、おととし、増資を行なった企業の株が増資の発表を前から大量に空売り(からうり)される不自然な取引が相ついだことでした。
証券取引等監視委員会が調査した結果、野村証券のほか、大和(だいわ)証券やSMBC日興証券、さらにJPモルガン証券も、取引先の信託銀行などに情報を漏らしていたことが明らかになりました。いずれのケースも、証券会社の社員が、営業活動に利用しようと情報を漏らしていたとみられています。
いまの法律では、情報を漏らした証券会社は課徴金の処分の対象になっていません。金融庁は、日本の証券市場への信頼を失わせかねないとして、証券会社への処分ができるように法律の改正などの規制の強化を検討しています。