「アルバス・ダンブルドアじゃ」
バーノンおじさんが紹介する気配がないので、ダンブルドアは自己紹介した。
「お手紙をやり取りいたしましたのう」
爆発する手紙を一度送ったことをペチュニアおばさんに思い出させるにしては、こういう言い方は変わっているとハリーは思った。しかし、ペチュニアおばさんは反論しなかった。
「そして、こちらは息子さんのダドリーじゃな?」
ダドリーがそのとき、居い間まのドアから顔を覗のぞかせた。縞しまのパジャマの襟えりから突き出したブロンドのでかい顔は、驚きと恐れで口をぱっくり開け、体のない首だけのような奇き妙みょうさだった。ダンブルドアは、どうやらダーズリー一家の誰だれかが口をきくかどうかを確かめているらしく、わずかの間待っていたが、沈ちん黙もくが続いたので、微笑ほほえんだ。
「わしが居間に招き入れられたことにしましょうかの?」
ダドリーは、ダンブルドアが前を通り過ぎるときに慌あわてて道を空けた。ハリーは望遠鏡とスニーカーをひっつかんだまま、最後の数段を一気に飛び下り、ダンブルドアのあとに従った。ダンブルドアは暖炉だんろにいちばん近い肘ひじ掛かけ椅い子すに腰こしを下ろし、無む邪じゃ気きな顔であたりを観察していた。ダンブルドアの姿は、はなはだしく場違いだった。
「あの――先生、出かけるんじゃありませんか?」ハリーは心配そうに聞いた。
「そうじゃ、出かける。しかしその前に、まずいくつか話し合っておかねばならぬことがあるのじゃ」ダンブルドアが言った。
「それに、おおっぴらに話をせぬほうがよいのでな。もう少しの時間、おじさんとおばさんのご好意に甘えさせていただくとしよう」
「させていただく? そうするんだろうが?」
バーノン・ダーズリーが、ペチュニアを脇わきにして居間に入ってきた。ダドリーは二人のあとをこそこそついてきた。
「いや、そうさせていただく」ダンブルドアはあっさりと言った。