「ハッハーン!」
頭上で甲高かんだかい声がして、二人は飛び上がった。二人とも気づかなかったが、ピーブズがシャンデリアから逆さまにぶら下がって、二人に向かって意地悪くニヤニヤしていた。たったいま、二人がその下を通り過ぎたのだった。
「ポッティがルーニーをパーティに誘った! ポッティはルーニーが好~き! ポッティはル~~~ニーが好~~~き!」
そしてピーブズは、「ポッティはルーニーが好き!」と甲高くはやし立てながら、高笑いとともにフェイドアウトした。
「内緒ないしょにしてくれてうれしいよ」ハリーが言った。
案あんの定じょう、あっという間に学校中に、ハリー・ポッターがルーナ・ラブグッドをスラグホーンのパーティに連れていく、ということが知れ渡ったようだった。
「君は誰だれだって誘えたんだ!」
夕食の席で、ロンが信じられないという顔で言った。
「誰だって! なのに、ルーニー・ラブグッドを選んだのか?」
「ロン、そういう呼び方をしないで」
友達のところに行く途中だったジニーが、ハリーの後ろで立ち止まり、ぴしゃりと言った。
「ハリー、あなたがルーナを誘ってくれて、ほんとにうれしいわ。あの子、とっても興こう奮ふんしてる」
そしてジニーは、ディーンが座っているテーブルの奥のほうに歩いていった。ルーナを誘ったことを、ジニーが喜んでくれたのはうれしいと、ハリーは自分を納得なっとくさせようとしたが、そう単たん純じゅんには割り切れなかった。テーブルのずっと離れたところで、ハーマイオニーがシチューをもてあそびながら、ひとりで座っていた。ハリーは、ロンがハーマイオニーを盗み見ているのに気づいた。
「謝あやまったらどうだ」ハリーはぶっきらぼうに意見した。
「なんだよ。それでまたカナリアの群れに襲おそわれろって言うのか?」ロンがブツブツ言った。
「何のためにハーマイオニーの物まねをする必要があった?」
「僕の口髭くちひげを笑った!」
「僕も笑ったさ。あんなにばかばかしいもの、見たことがない」
しかし、ロンは聞いてはいないようだった。ちょうどそのとき、ラベンダーがパーバティと一いっ緒しょにやって来たのだ。ハリーとロンの間に割り込んで、ラベンダーはロンの首に両腕を回した。
「こんばんは、ハリー」
パーバティもハリーと同じように、この二人の友人の態度には当惑とうわく気ぎ味みで、うんざりした顔をしていた。
「やあ」ハリーが答えた。「元気かい? それじゃ、君はホグワーツにとどまることになったんだね? ご両親が連つれ戻もどしたがっているって聞いたけど」
「しばらくはそうしないようにって、なんとか説得せっとくしたわ」パーバティが言った。「あのケイティのことで、親がとってもパニクっちゃったんだけど、でも、あれからは何も起こらないし……あら、こんばんは、ハーマイオニー!」