「それで?」
写真に関係する短い記事にざっと目を通しながら、ハリーが言った。学校対たい抗こう試合の、かなりつまらない記事だった。
「この人の名前はアイリーン・プリンスよ。ハリー、プリンス」
三人は顔を見合わせ、ハリーはハーマイオニーの言おうとしていることに気づいた。ハリーは笑い出した。
「ありえないよ」
「何が?」
「この女の子が『半はん純じゅん血けつの……』? いい加減かげんにしろよ」
「え? どうして? ハリー、魔法界には本当の王子なんていないのよ! 綽名あだなか、勝手にその肩書かたがきを名乗っているか、または実名かもしれないわ。そうでしょう? いいから、よく聞いて! もしこの女の子の父親が『プリンス』という姓せいで、母親がマグルなら、それで『半純血のプリンス』になるわ!」
「ああ、独どく創そう的てきだよ、ハーマイオニー……」
「でも、そうなるわ! この人はたぶん、自分が半分プリンスであることを誇ほこりにしていたのよ!」
「いいかい、ハーマイオニー。女の子じゃないって、僕にはわかるんだ。とにかくわかるんだよ」
「本当は、女の子がそんなに賢かしこいはずはないって、そう思ってるんだわ」
ハーマイオニーが怒ったように言った。
「五年も君のそばにいた僕が、女の子が賢くないなんて思うはずないだろ?」
ハリーは少し傷ついて反論した。
「書き方だよ。プリンスが男だってことが、とにかくわかるんだ。僕にはわかるんだよ。この女の子は何の関係もない。どっから引っぱり出してきたんだ?」
「図書室よ」
ハーマイオニーは予想どおりの答えを言った。
「古い『予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん』が全部取ってあるの。それで、私、できればアイリーン・プリンスのことをもっと調べるつもりよ」
「どうぞご勝手に」ハリーがいらいらと言った。
「そうするわ」ハーマイオニーが言った。
「それに、最初に調べるのは――」
ハーマイオニーは肖しょう像ぞう画がの穴まで行き、ハリーに向かって語ご気き鋭するどく言った。
「昔の魔ま法ほう薬やくの表ひょう彰しょうの記録よ」
出ていくハーマイオニーを、ハリーはしばらく睨にらんでいたが、暗くなりかけた空を眺ながめながらまた想おもいに耽ふけった。