「同じ家にいたら、あの人に慣れるんじゃないのか?」ハリーが聞いた。
「ああ、そうさ」ロンが言った。「だけど、あんなふうに突然飛び出してこられると……」
「救いようがないわ」
ハーマイオニーが腹を立てて、つんけんしながらロンからできるだけ離れ、壁際かべぎわで回れ右して腕組みし、ロンのほうを向いた。
「あの人に、ずーっとうろうろされたくはないでしょう?」
まさかと言う顔で、ジニーがロンに聞いた。ロンが肩をすくめただけなのを見て、ジニーが言った。
「とにかく、賭かけてもいいけど、ママががんばってストップをかけるわ」
「どうやってやるの?」ハリーが聞いた。
「トンクスを何度も夕食に招しょう待たいしようとしてる。ビルがトンクスのほうを好きになればいいって期待してるんだと思うな。そうなるといいな。家族にするなら、わたしはトンクスのほうがずっといい」
「そりゃあ、うまくいくだろうさ」ロンが皮肉った。
「いいか、まともな頭の男なら、フラーがいるのにトンクスを好きになるかよ。そりゃ、トンクスはまあまあの顔さ。髪かみの毛や鼻はなに変なことさえしなきゃ。だけど――」
「トンクスは、ヌラーよりめちゃくちゃいい性格してるよ」ジニーが言った。
「それにもっと知的よ。闇やみ祓ばらいですからね!」隅すみのほうからハーマイオニーが言った。
「フラーはばかじゃないよ。三さん校こう対たい抗こう試合じあい選手に選ばれたぐらいだ」ハリーが言った。
「あなたまでが!」ハーマイオニーが苦々にがにがしく言った。
「ヌラーが『アリー』って言う、言い方が好きなんでしょう?」
ジニーが軽蔑けいべつしたように言った。
「違うよ」
ハリーは、口を挟はさまなきゃよかったと思いながら言った。
「僕はただ、ヌラーが――じゃない、フラーが――」
「わたしは、トンクスが家族になってくれたほうがずっといい」ジニーが言った。
「少なくともトンクスはおもしろいもの」
「このごろじゃ、あんまりおもしろくないぜ」ロンが言った。
「近ごろのトンクスは、見るたびにだんだん『嘆なげきのマートル』に似てきてるな」
「そんなのフェアじゃないわ」
ハーマイオニーがぴしゃりと言った。
「あのことからまだ立ち直っていないのよ……あの……つまり、あの人はトンクスの従兄いとこだったんだから!」