束つかの間まの静けさに乗じょうじて、ハリーはまた朝食を食べた。ハーマイオニーは、フレッドとジョージの段ボール箱を覗のぞいていたが、ときどきハリーを横目で見た。ロンは、ハリーのトーストを勝手に摘つまみはじめたが、まだ夢見るような目でドアを見つめていた。
「これ、なあに?」
しばらくしてハーマイオニーが、小さな望遠鏡のような物を取り出して聞いた。
「さあ」ロンが答えた。
「でも、フレッドとジョージがここに残していったぐらいだから、たぶん、まだ悪戯いたずら専せん門もん店てんに出すには早すぎるんだろ。だから、気をつけろよ」
「君のママが、店は流は行やってるって言ってたけど」ハリーが言った。
「フレッドとジョージはほんとに商才があるって言ってた」
「それじゃ言い足りないぜ」ロンが言った。
「ガリオン金貨をざっくざく掻かき集めてるよ。早く店が見たいな。僕たち、まだダイアゴン横よこ丁ちょうに行ってないんだ。だってママが、用心には用心して、パパが一いっ緒しょじゃないとだめだって言うんだよ。ところがパパは、仕事でほんとに忙しくて。でも、店はすごいみたいだぜ」
「それで、パーシーは?」
ハリーが聞いた。ウィーズリー家の三男は、家族と仲違なかたがいしていた。
「君のママやパパと、また口をきくようになったのかい?」
「いンや」ロンが言った。
「だって、ヴォルデモートが戻もどってきたことでは、はじめから君のパパが正しかったって、パーシーにもわかったはずだし――」
「ダンブルドアがおっしゃったわ。他人の正しさを許すより、間違いを許すほうがずっとたやすい」ハーマイオニーが言った。
「ダンブルドアがね、ロン、あなたのママにそうおっしゃるのを聞いたの」
「ダンブルドアが言いそうな、へんてこりんな言葉だな」ロンが言った。
「ダンブルドアって言えば、今学期、僕に個こ人じん教きょう授じゅしてくれるんだってさ」
ハリーが何気なく言った。
ロンはトーストに咽むせ、ハーマイオニーは息を呑のんだ。
「そんなことを黙だまってたなんて!」ロンが言った。
「いま思い出しただけだよ」ハリーは正直に言った。
「ここの箒ほうき小ご屋やで、今朝そう言われたんだ」
「おったまげー……ダンブルドアの個人教授!」ロンは感心したように言った。
「ダンブルドアはどうしてまた……?」