ロンの声が先細りになった。ハーマイオニーと目を見交わすのを、ハリーは見た。ハリーはフォークとナイフを置いた。ベッドに座っているだけにしては、ハリーの心臓の鼓動こどうがやけに早くなった。ダンブルドアがそうするようにと言った……いまこそその時ではないか? ハリーは、膝ひざの上に流れ込む陽ひの光に輝かがやいているフォークをじっと見つめたまま、切り出した。「ダンブルドアがどうして僕に個人教授してくれるのか、はっきりとはわからない。でも、予言のせいに違いないと思う」
ロンもハーマイオニーも黙ったままだった。ハリーは、二人とも凍こおりついたのではないかと思った。ハリーは、フォークに向かって話し続けた。
「ほら、魔法省で連中が盗もうとしたあの予言だ」
「でも、予言の中身は誰だれも知らないわ」ハーマイオニーが急いで言った。
「砕くだけてしまったもの」
「ただ、『日刊にっかん予よ言げん者しゃ』に書いてあったのは――」
ロンが言いかけたが、ハーマイオニーが「シーッ」と制せいした。
「『日刊予言者』にあったとおりなんだ」
ハリーは意を決して二人を見上げた。ハーマイオニーは恐れ、ロンは驚いているようだった。
「砕くだけたガラス球だけが予言を記録きろくしていたのではなかった。ダンブルドアの校長室で、僕は予言の全部を聞いた。本物の予言はダンブルドアに告げられていたから、僕に話して聞かせることができたんだ。その予言によれば――」
ハリーは深く息を吸すい込んだ。
「ヴォルデモートに止とどめを刺ささなければならないのは、どうやらこの僕らしい……少なくとも、予言によれば、二人のどちらかが生きているかぎり、もう一人は生き残れない」
三人は、一いっ瞬しゅん、互いに黙だまって見つめ合った。そのとき、バーンという大だい音おん響きょうとともに、ハーマイオニーが黒煙の陰かげに消えた。