怪あやしげな風体ふうていの小柄こがらな魔法使いが、チェーンに銀の符ふ牒ちょうをつけた物を腕一杯抱えて、通行人に向かってジャラジャラ鳴らしていた。
「奥さん、お嬢じょうちゃんにお一ついかが?」
一行が通りかかると、売り子はジニーを横目で見ながらウィーズリー夫人に呼びかけた。
「お嬢ちゃんのかわいい首を護まもりませんか?」
「私が仕事中なら……」
ウィーズリーおじさんが護符売りを怒ったように睨にらみつけながら言った。
「そうね。でもいまは誰だれも逮捕たいほしたりなさらないで。急いでいるんですから」
おばさんは落ち着かない様子で買い物リストを調べながら言った。
「マダム・マルキンのお店に最初に行ったほうがいいわ。ハーマイオニーは新しいドレスローブを買いたいし、ロンは学校用のローブから踝くるぶしが丸見えですもの。それに、ハリー、あなたも新しいのがいるわね。とっても背が伸びたわ――さ、みんな――」
「モリー、全員がマダム・マルキンの店に行くのはあまり意味がない」ウィーズリーおじさんが言った。「その三人はハグリッドと一いっ緒しょに行って、我々はフローリシュ・アンド・ブロッツでみんなの教科書を買ってはどうかね?」
「さあ、どうかしら」
おばさんが不安そうに言った。買い物を早くすませたい気持と、一ひと塊かたまりになっていたい気持との間で迷っているのが明らかだった。
「ハグリッド、あなたはどう思――?」
「気ぃもむな。モリー、こいつらは俺おれと一いっ緒しょで大丈夫だ」
ハグリッドが、ゴミバケツの蓋ふたほど大きい手を気軽に振って、なだめるように言った。おばさんは完全に納得なっとくしたようには見えなかったが、二手ふたてに分かれることを承しょう知ちして、夫とジニーと一緒にフローリシュ・アンド・ブロッツにそそくさと走っていった。ハリー、ロン、ハーマイオニーは、ハグリッドと一緒にマダム・マルキンに向かった。
通行人の多くが、ウィーズリーおばさんと同じように切せっ羽ぱ詰つまった心配そうな顔でそばを通り過ぎていくのに、ハリーは気づいた。もう立ち話をしている人もいない。買い物客は、それぞれしっかり自分たちだけで塊かたまって、必要なことだけに集中して動いていた。一人で買い物をしている人は誰だれもいない。