「みんな大丈夫?」おばさんが言った。「ローブは買ったの? それじゃ、薬くすり問どん屋やとイーロップの店にちょっと寄って、それからフレッドとジョージのお店に行きましょう――離れないで、さあ……」
ハリーもロンも、もう魔ま法ほう薬やく学がくを取らないことになるので、薬くすり問どん屋やでは何も材料を買わなかったが、イーロップのふくろう百ひゃっ貨か店てんでは、ヘドウィグとピッグウィジョンのためにふくろうナッツの大箱をいくつも買った。その後、おばさんが一分ごとに時計をチェックする中、一いっ行こうは、フレッドとジョージの経営けいえいする悪戯いたずら専せん門もん店てん、ウィーズリーW・ウィザードW・ウィーズWを探して、さらに歩いた。
「もうほんとに時間がないわ」おばさんが言った。「だからちょっとだけ見て、それから車に戻もどるのよ。もうこのあたりのはずだわ。ここは九十二番地……九十四……」
「ウワーッ」ロンが道のまん中で立ち止まった。
ポスターで覆おおい隠かくされた冴さえない店頭が立ち並ぶ中で、フレッドとジョージのウインドウは、花火大会のように目を奪うばった。たまたま通りがかった人も、振り返ってウインドウを見ていたし、何人かは愕然がくぜんとした顔で立ち止まり、その場に釘くぎづけになっていた。左側のウインドウには目の眩くらむような商品の数々が、回ったり跳はねたり光ったり、弾はずんだり叫さけんだりしていた。見ているだけでハリーは目がチカチカしてきた。右側のウインドウは巨大ポスターで覆われていて、色は魔法省のと同じ紫色だったが、黄色の文字が鮮あざやかに点滅てんめつしていた。
ハリーは声を上げて笑った。そばで低い呻うめき声のようなものが聞こえたので振り向くと、ウィーズリーおばさんが、ポスターを見つめたまま声も出ない様子だった。おばさんの唇くちびるが動き、口の形で「ウンのない人」と言った。
「あの子たち、きっとこのままじゃすまないわ!」おばさんが微かすかな声で言った。
「そんなことないよ!」ハリーと同じく笑っていたロンが言った。「これ、すっげえ!」