「ハリー、元気か?」二人は握手あくしゅした。「それで、ハーマイオニー、その目はどうした?」
「あなたのパンチ望遠鏡よ」ハーマイオニーが無念むねんそうに言った。
「あ、いっけねー、あれのこと忘れてた」フレッドが言った。「ほら――」
フレッドはポケットから丸い容器ようきを取り出して、ハーマイオニーに渡した。ハーマイオニーが用心深くネジ蓋ふたを開けると、中にどろりとした黄色の軟膏なんこうがあった。
「軽く塗ぬっとけよ。一時間以内に痣あざが消える」フレッドが言った。
「俺おれたちの商品はだいたい自分たちが実じっ験けん台だいになってるんだ。ちゃんとした痣消しを開発しなきゃならなかったんでね」
ハーマイオニーは不安そうだった。「これ、安全、なんでしょうね?」
「太たい鼓こ判ばんさ」フレッドが元気づけるように言った。
「ハリー、来いよ。案内するから」
軟膏を目の周まわりに塗りつけているハーマイオニーを残し、ハリーはフレッドについて店の奥に入った。そこには手品用のトランプやロープのスタンドがあった。
「マグルの手品だ!」
フレッドが指差しながらうれしそうに言った。
「親父おやじみたいな、ほら、マグル好きの変人用さ。儲もうけはそれほど大きくないけど、かなりの安定商品だ。珍めずらしさが大受けでね……ああ、ジョージだ……」
フレッドの双子ふたごの相方あいかたが、元気一杯ハリーと握手あくしゅした。
「案内か? 奥に来いよ、ハリー。俺おれたちの儲け商品ラインがある――万引きは、君、ガリオン金貨より高くつくぞ!」
ジョージが小さな少年に向かって警告けいこくすると、少年はすばやく手を引っ込めた。手を突っ込んでいた容器ようきには、
食べられる闇やみの印しるし――食べると誰だれでも吐はき気 けがします!
というラベルが貼はってあった。