「みんな、僕たちのことまで見つめてる」ネビルが、自分とルーナを指した。
「僕たちが、君と一いっ緒しょにいるから!」
「みんなが君たちを見つめてるのは、君たちも魔法省にいたからだ」
トランクを荷物棚だなに上げながら、ハリーが言った。
「あそこでの僕たちのちょっとした冒険ぼうけんが、『日刊にっかん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん』に書きまくられていたよ。君たちも見たはずだ」
「うん、あんなに書き立てられて、ばあちゃんが怒るだろうと思ったんだ」ネビルが言った。
「ところが、ばあちゃんたら、とっても喜んでた。僕がやっと父さんに恥はじない魔法使いになりはじめたって言うんだ。新しい杖つえを買ってくれたんだよ。見て!」
ネビルは杖を取り出して、ハリーに見せた。
「桜とユニコーンの毛」ネビルは得意げに言った。
「オリバンダーが売った最後の一本だと思う。次の日にいなくなったんだもの――おい、こっちにおいで、トレバー!」
ネビルは、またしても自由への逃走とうそうを企くわだてたヒキガエルを捕まえようと、座席の下に潜もぐり込んだ。
「ハリー、今学年もまだDディーAエイの会合をするの?」
ルーナは「ザ・クィブラー」のまん中からサイケなメガネを取りはずしながら聞いた。
「もうアンブリッジを追い出したんだから、意味ないだろう?」
そう言いながら、ハリーは腰こしを掛かけた。
ネビルは、座席の下から顔を突き出す拍ひょう子しに頭を座席にぶつけた。とても失望した顔をしていた。
「僕、DAが好きだった! 君からたくさん習った!」
「あたしもあの会合が楽しかったよ」ルーナがけろりとして言った。
「友達ができたみたいだった」
ルーナはときどきこういう言い方をして、ハリーをぎくりとさせる。ハリーは、哀あわれみと当とう惑わくが入り交じって、のたうつような気持になった。しかし、ハリーが何も言わないうちに、コンパートメントの外が騒がしくなった。四年生の女子たちがドアの外に集まって、ヒソヒソ、クスクスやっていた。
「あなたが聞きなさいよ!」
「いやよ、あなたよ!」
「わたしがやるわ!」
そして、大きな黒い目に長い黒くろ髪かみの、えらが張った大胆だいたんそうな顔立ちの女の子が、ドアを開けて入ってきた。