「こんにちは、ハリー。わたし、ロミルダ。ロミルダ・ベインよ」
女の子が大きな声で自信たっぷりに言った。
「わたしたちのコンパートメントに来ない? この人たちと一いっ緒しょにいる必要はないわ」
ネビルとルーナを指差しながら、女の子が聞こえよがしの囁ささやき声で言った。指されたネビルは、座席の下から尻しりを突き出してトレバーを手探りしていたし、ルーナは付録ふろくの「めらめらメガネ」をかけて、多た彩さい色しきの呆ほうけたふくろうのような顔をしていた。
「この人たちは僕の友達だ」ハリーは冷たく言った。
「あら」女の子は驚いたような顔をした。「そう。オッケー」
女の子は、ドアを閉めて出ていった。
「みんなは、あんたに、あたしたちよりもっとかっこいい友達を期待するんだ」
ルーナはまたしても、率直さで人を面食らわせる腕前を発揮はっきした。
「君たちはかっこいいよ」ハリーは言葉少なに言った。
「あの子たちの誰だれも魔法省にいなかった。誰も僕と一緒に戦わなかった」
「いいこと言ってくれるわ」
ルーナはにっこりして、鼻の「めらめらメガネ」を押し上げ、腰こしを落ち着けて「ザ・クィブラー」を読みはじめた。
「だけど、僕たちは、あの人には立ち向かってない」
ネビルが、髪かみに綿ゴミや埃ほこりをくっつけ、諦あきらめ顔のトレバーを握って、座席の下から出てきた。
「そう、君が立ち向かった。ばあちゃんが君のことを何て言ってるか、聞かせたいな。『あのハリー・ポッターは、魔法省全部を束たばにしたより根性があります!』。ばあちゃんは君を孫まごに持てたら、ほかには何にもいらないだろうな……」
ハリーは、気まずい思いをしながら笑った。そして、急いで話題を変えて、ふくろうO・W・Lテストの結果を話した。ネビルが自分の点数を数え上げ、「変へん身しん術じゅつ」が「可・A」しか取れなかったから、N・E・W・Tいもりレベルの変身術を履り修しゅうさせてもらえるかどうかと訝いぶかる様子を、ハリーは話を聞いているふりをしながら見つめていた。