コンパートメントCに着くとすぐ、スラグホーンに招しょう待たいされたのはハリーたちだけではなかったことがわかったが、スラグホーンの熱烈ねつれつ歓迎かんげいぶりから見て、ハリーがいちばん待ち望まれていたらしい。
「ハリー、よく来た!」
ハリーを見て、スラグホーンがすぐに立ち上がった。ビロードで覆おおわれた腹が、コンパートメントの空間をすべて埋め尽くしているように見える。テカテカの禿はげ頭と巨大な銀色の口髭くちひげが、陽ひの光を受けて、チョッキの金ボタンと同じぐらい眩まぶしく輝かがやいている。
「よく来た、よく来てくれた! それで、君はミスター・ロングボトムだろうね!」
ネビルが恐こわ々ごわ頷うなずいた。スラグホーンに促うながされて、二人はドアにいちばん近い、二つだけ空いている席に向かい合って座った。ハリーはほかの招待客を、ちらりと見回した。同学年の顔見知りのスリザリン生が一人いる。頬骨ほおぼねが張り、細長い目が吊つり上がった、背の高い黒人の男子生徒だ。そのほか、ハリーの知らない七年生が二人、それと、隅すみの席にスラグホーンの隣となりで押しつぶされながら、どうしてここにいるのかさっぱりわからないという顔をしているのは、ジニーだ。
「さーて、みんなを知っているかな?」
スラグホーンがハリーとネビルに聞いた。
「ブレーズ・ザビニは、もちろん君たちの学年だな――」
ザビニは顔見知りの様子も見せず、挨あい拶さつもしなかったが、ハリーとネビルも同様だった。グリフィンドールとスリザリンの学生は、基本的に憎しみ合っていたのだ。
「こちらはコーマック・マクラーゲン。お互いに出会ったことぐらいはあるんじゃないかね――? ん?」
大柄おおがらでバリバリの髪かみの青年は片手を挙げ、ハリーとネビルは頷うなずいて挨拶した。
「――そしてこちらはマーカス・ベルビィ。知り合いかどうかは――?」
痩やせて神しん経けい質しつそうなベルビィが、無理やり微笑ほほえんだ。
「――そしてこちらのチャーミングなお嬢じょうさんは、君たちを知っているとおっしゃる!」
スラグホーンが紹しょう介かいを終えた。
ジニーがスラグホーンの後ろで、ハリーとネビルにしかめっ面をしてみせた。