「さてさて、楽しいかぎりですな」
スラグホーンがくつろいだ様子で言った。
「みんなと多少知り合えるいい機会だ。さあ、ナプキンを取ってくれ。わたしは自分でランチを準備してきたのだよ。記憶によれば、ランチ・カートは杖型つえがた甘かん草ぞう飴あめがどっさりで、年寄りの消化器官にはちときつい……ベルビィ、雉肉きじにくはどうかな?」
ベルビィはぎくりとして、冷たい雉肉の半身はんみのような物を受け取った。
「こちらのマーカス君に、いま話していたところなんだが、わたしはマーカスのおじさんのダモクレスを教えさせてもらってね」
こんどはロールパンのバスケットをみんなに差し出しながら、スラグホーンがハリーとネビルに向かって言った。
「優秀な魔法使いだった。実に優秀な。当然のマーリン勲くん章しょうを受けてね。おじさんにはしょっちゅう会うのかね? マーカス?」
運の悪いことに、ベルビィはいましがた、雉肉の塊かたまりを口一杯に頬張ほおばったところだった。返事をしようと焦あせって、ベルビィは慌あわててそれを飲み込み、顔を紫色にして咽むせはじめた。
「アナプニオ! 気きの道開みちひらけ!」
スラグホーンは杖つえをベルビィに向け、落ち着いて唱となえた。ベルビィの気道はどうやらたちまち開通したようだった。
「あまり……あまり頻繁ひんぱんには。いいえ」ベルビィは涙なみだを滲にじませながら、ゼイゼイ言った。
「まあ、もちろん、彼は忙しいだろうと拝察はいさつするが」
スラグホーンはベルビィを探るような目で見た。
「『トリカブト薬やく』を発明するのに、おじさんは相当大変なお仕事をなさったに違いない!」
「そうだと思います……」
ベルビィは、スラグホーンの質問が終わったとわかるまでは、怖こわくてもう一度雉肉を頬張る気にはなれないようだった。
「えー……おじと僕の父は、あの、あまりうまくいかなくて、だから、僕はあまり知らなくて……」
スラグホーンが冷ややかに微笑ほほえんだので、ベルビィの声はだんだんか細ぼそくなった。スラグホーンは次にマクラーゲンに話しかけた。
「さて、コーマック、君のことだが」スラグホーンが言った。
「君がおじさんのチベリウスとよく会っているのを、わたしはたまたま知っているんだがね。なにしろ、彼は、君とノグテイル狩がりに行ったときのすばらしい写真をお持ちだ。ノーフォーク州、だったかな?」
「ああ、ええ、楽しかったです。あれは」マクラーゲンが言った。
「バーティ・ヒッグズやルーファス・スクリムジョールと一いっ緒しょでした――もちろん、あの人が大臣になる前でしたけれど――」
「ああ、バーティやルーファスも知っておるのかね?」
スラグホーンがにっこりして、こんどは小さな盆に載のったパイを勧すすめはじめたが、なぜかベルビィは抜かされた。
「さあ、話してくれないか……」
「君がおじさんのチベリウスとよく会っているのを、わたしはたまたま知っているんだがね。なにしろ、彼は、君とノグテイル狩がりに行ったときのすばらしい写真をお持ちだ。ノーフォーク州、だったかな?」
「ああ、ええ、楽しかったです。あれは」マクラーゲンが言った。
「バーティ・ヒッグズやルーファス・スクリムジョールと一いっ緒しょでした――もちろん、あの人が大臣になる前でしたけれど――」
「ああ、バーティやルーファスも知っておるのかね?」
スラグホーンがにっこりして、こんどは小さな盆に載のったパイを勧すすめはじめたが、なぜかベルビィは抜かされた。
「さあ、話してくれないか……」