「グロウプと一いっ緒しょでなあ」ハグリッドがうれしそうに言った。
「時間の経つのを忘れっちまった。いまじゃ山ン中に新しい家うちがあるぞ。ダンブルドアが設しつらえなすった――おっきないい洞穴ほらあなだ。あいつは森にいるときより幸せでな。二人で楽しくしゃべくっとったのよ」
「ほんと?」
ハリーは、意識的にロンと目を合わせないようにしながら言った。ハグリッドの父親違いの弟は、最後に会ったとき、樹木じゅもくを根元から引っこ抜く才能のある狂きょう暴ぼうな巨人で、言葉はたった五つの単語だけしか持たず、そのうち二つはまともに発音さえできなかった。
「ああ、そうとも。あいつはほんとに進歩した」ハグリッドは得意げに言った。
「二人とも驚くぞ。俺はあいつを訓練して助手にしようと考えちょる」
ロンは大きくフンと言ったが、何とかごまかして、大きなくしゃみをしたように見せかけた。三人はもう樫かしの扉とびらのそばまで来ていた。
「とにかく、明日あした会おう。昼食のすぐあとの時間だ。早めに来いや。そしたら挨あい拶さつできるぞ、バック――おっと――ウィザウィングズに!」
片腕かたうでを挙げて上じょう機き嫌げんでおやすみの挨拶をしながら、ハグリッドは正面扉から闇やみの中へと出ていった。
ハリーは、ロンと顔を見合わせた。ロンも自分と同じく気持が落ち込んでいるのがわかった。
「『魔ま法ほう生せい物ぶつ飼し育いく学がく』を取らないんだろう?」
ロンが頷うなずいた。
「君もだろう?」
ハリーも頷いた。
「それに、ハーマイオニーも」ロンが言った。「取らないよな?」
ハリーはまた頷いた。お気に入りの生徒が、三人ともハグリッドの授じゅ業ぎょうを取らないと知ったら、ハグリッドはいったい何と言うか。ハリーは考えたくもなかった。