次の日の朝食前に、ハリーとロンは談だん話わ室しつでハーマイオニーに会った。自分の説に支持がほしくて、ハリーは早速、ホグワーツ特急で盗み聞きしたマルフォイの言葉を話して聞かせた。
「だけど、あいつは当然パーキンソンにかっこつけただけだよな?」
ハーマイオニーが何も言わないうちに、ロンがすばやく口を挟はさんだ。
「そうねえ」ハーマイオニーが曖昧あいまいに答えた。
「わからないわ……自分を偉えらく見せたがるのはマルフォイらしいけど……でも嘘うそにしてはちょっと大きすぎるし……」
「そうだよ」
ハリーは相槌あいづちを打ったが、それ以上は押せなかった。というのも、あまりにも大勢の生徒たちがハリーを見つめていたし、口に手を当ててひそひそ話をするばかりでなく、ハリーたちの会話に聞き耳を立てていたからだ。
「指差しは失礼だぞ」
三人で肖しょう像ぞう画がの穴から出ていく生徒の列に並びながら、ロンが特に細こまい一年生に噛かみついた。片手で口を覆おおって、ハリーのことを友達にヒソヒソと話していた男の子は、たちまちまっ赤になり、驚いた拍子に穴から転がり落ちた。ロンはニヤニヤ笑った。
「六年生になるって、いいなあ。それに、今年は自由時間があるぜ。まるまる空いている時間だ。ここに座ってのんびりしてればいい」
「その時間は勉強するのに必要なのよ、ロン!」
三人で廊下ろうかを歩きながら、ハーマイオニーが言った。
「ああ、だけど今日は違う」ロンが言った。「今日は楽勝だと思うぜ」
「ちょっと!」
ハーマイオニーが腕を突き出して、通りがかりの四年生の男子を止めた。男の子は、ライムグリーンの円盤えんばんをしっかりつかんで、急いでハーマイオニーを追い抜こうとしていた。
「『噛かみつきフリスビー』は禁止されてるわ。よこしなさい」
ハーマイオニーは厳きびしい口調で言った。しかめっ面の男の子は、歯をむき出しているフリスビーを渡し、ハーマイオニーの腕をくぐり抜けて友達のあとを追った。ロンはその姿が見えなくなるのを待って、ハーマイオニーの握りしめているフリスビーを引ったくった。
「上じょう出で来き。これほしかったんだ」
ハーマイオニーが抗議こうぎする声は、大きなクスクス笑いに呑のまれてしまった。ラベンダー・ブラウンだった。ロンの言い方がとてもおかしいと思ったらしく、笑いながら三人を追い越し、振り返ってロンをちらりと見た。ロンは、かなり得意げだった。