「さあ、ポッター、ポッターっと……」
ハリーのほうを向きながら、マクゴナガル先生は自分のノートを調べていた。
「『呪文学』、『闇やみの魔ま術じゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつ』、『薬やく草そう学がく』、『変へん身しん術じゅつ』……すべて結構けっこうです。あなたの『変身術』の成績には、ポッター、私自身満足しています。大変満足です。さて、なぜ『魔ま法ほう薬やく学がく』を続ける申し込みをしなかったのですか? 闇やみ祓ばらいになるのがあなたの志こころざしだったと思いますが?」
「そうでした。でも、先生は僕に、O・W・Lで『優・O』を取らないとだめだとおっしゃいました」
「たしかに、スネイプ先生が、この学科を教えていらっしゃる間はそうでした。しかし、スラグホーン先生はO・W・Lで『良・E』の学生でも、喜んでN・E・W・Tに受け入れます。『魔法薬』に進みたいですか?」
「はい」ハリーが答えた。「でも、教科書も材料も、何も買っていません――」
「スラグホーン先生が、何か貸してくださると思います」マクゴナガル先生が言った。
「よろしい。ポッター、あなたの時間割です。ああ、ところで――グリフィンドールのクィディッチ・チームに、すでに二十人の候こう補ほ者しゃが名前を連つらねています。追っつけあなたにリストを渡しますから、時間があるときに選抜せんばつの日を決めればよいでしょう」
しばらくして、ロンもハリーと同じ学科を許可され、二人は一いっ緒しょにテーブルを離れた。
「どうだい」ロンが時間割を眺ながめてうれしそうに言った。
「僕たち、いまが自由時間だぜ……それに休きゅう憩けい時間のあとに自由時間……それと昼食のあと……やったぜ!」
二人は談だん話わ室しつに戻もどった。七年生が五、六人いるだけで、がらんとしていた。ハリーが一年生でクィディッチ・チームに入ったときの、オリジナル・メンバーでただ一人残っているケイティ・ベルもそこにいた。
「君がそれをもらうだろうと思っていたわ。おめでとう」
ケイティはハリーの胸にあるキャプテン・バッジを指して、離れたところから声をかけた。
「いつ選抜するのか教えてよ!」
「ばかなこと言うなよ」ハリーが言った。
「君は選抜なんか必要ない。五年間ずっと君のプレイを見てきたんだ」
「最初からそれじゃいけないな」
ケイティが警告けいこくするように言った。
「わたしよりずっと上手い人がいるかもしれないじゃない。これまでだって、キャプテンが古顔ふるがおばっかり使ったり、友達を入れたりして、せっかくのいいチームをだめにした例はあるんだよ」
ロンはちょっとばつが悪そうな顔をして、ハーマイオニーが四年生から取り上げた「噛かみつきフリスビー」で遊びはじめた。フリスビーは、談話室を唸うなり声を上げて飛び回り、歯はをむき出してタペストリーに噛みつこうとした。クルックシャンクスの黄色い眼めがそのあとを追い、近くに飛んでくるとシャーッと威嚇いかくした。