挙げる修しゅう練れんを十分に積んでいるハーマイオニーの手が、まっ先に天を突いた。スラグホーンはハーマイオニーを指した。
「『真実薬ベリタセラム』です。無色無臭で、飲んだ者に無理やり真実を話させます」ハーマイオニーが答えた。
「大変よろしい、大変よろしい!」スラグホーンがうれしそうに言った。
「さて」スラグホーンがレイブンクローのテーブルに近い大おお鍋なべを指した。
「ここにあるこれは、かなりよく知られている……最近、魔法省のパンフレットにも特記とっきされていた……誰だれか――?」
またしてもハーマイオニーの手がいちばん早かった。
「はい先生、ポリジュース薬やくです」
ハリーだって、二番目の大おお鍋なべでゆっくりとグツグツ煮えている、泥のようなものが何かはわかっていた。しかし、ハーマイオニーがその質問に答えるという手柄てがらを立てても恨うらみには思わなかった。二年生のときにあの薬を煎じるのに成功したのは、結局ハーマイオニーだったのだから。
「よろしい、よろしい! さて、こっちだが……おやおや?」
ハーマイオニーの手がまた天を突いたので、スラグホーンはちょっと面食らった顔をした。
「アモルテンシア、魅惑みわく万ばん能のう薬やく!」
「そのとおり。聞くのはむしろ野や暮ぼだと言えるだろうが――」
スラグホーンは大いに感心した顔で言った。
「どういう効能こうのうがあるかは知っているだろうね?」
「世界一強力な愛の妙みょう薬やくです」ハーマイオニーが答えた。
「正解だ! 察するに、真しん珠じゅ貝がいのような独特の光沢こうたくでわかったのだろうね?」
「それに、湯気が独特の螺旋らせんを描いています」ハーマイオニーが熱っぽく言った。
「そして、何に惹ひかれるかによって、一人ひとり違った匂においがします。私には刈かったばかりの芝生しばふや新しい羊よう皮ひ紙しや――」
しかし、ハーマイオニーはちょっと頬ほおを染そめ、最後までは言わなかった。