「どうだ!」もつれた争点もこれで問もん答どう無む用ようとばかり、ゴーントは勝ち誇ほこって言った。
「我々に向かって、きさまの靴くつの泥に物を言うような口のきき方をするな! 何世紀にもわたって純じゅん血けつだ。全員魔法使いだ――きさまなんかよりずっと純血だってことは、間違いないんだ!」
そしてゴーントはオグデンの足下あしもとに唾つばを吐はいた。モーフィンがまた高笑いした。メローピーは窓の脇わきにうずくまって首を垂たれ、だらんとした髪かみで顔を隠かくして何も言わなかった。
「ゴーントさん」オグデンは粘ねばり強く言った。
「残念ながら、あなたの先祖も私の先祖も、この件には何の関わりもありません。わたしはモーフィンのことでここにいるのです。それに、昨さく夜や半はんすぎにモーフィンが声をかけたマグルのことです。我々の情報によれば――」
オグデンは羊よう皮ひ紙しに目を走らせた。
「モーフィンは、当該とうがいマグルに対し呪のろいもしくは呪詛じゅそをかけ、この男に非常な痛みを伴う蕁じん麻疹ましんを発疹はっしんさせしめた」
モーフィンがヒャッヒャッと笑った。
「黙だまっとれ」ゴーントが蛇語へびごで唸うなった。モーフィンはまた静かになった。
「それで、息子がそうしたとしたら、どうだと?」
ゴーントが、オグデンに挑いどむように言った。
「おまえたちがそのマグルの小こ汚ぎたない顔を、きれいに拭ふき取ってやったのだろうが。ついでに記憶までな――」
「ゴーントさん、要はそういう話ではないでしょう?」オグデンが言った。
「この件は、何もしないのに丸腰まるごしの者に攻撃こうげきを――」
「ふん、最初におまえを見たときからマグル好きなやつだと睨にらんでいたわ」
ゴーントはせせら笑ってまた床に唾を吐いた。
「話し合っても埒らちが明きませんな」オグデンはきっぱりと言った。
「息子さんの態度からして、自分の行為こういを何ら後悔こうかいしていないことは明らかです」
オグデンは、もう一度羊よう皮ひ紙しの巻紙まきがみに目を通した。
「モーフィンは九月十四日、口頭こうとう尋じん問もんに出頭し、マグルの面前で魔法を使ったこと、さらに当とう該がいマグルに傷しょう害がいを与え、精せい神しん的てき苦痛を加えたことにつき尋問を受――」