ハーマイオニーが予測したように、六年生の自由時間は、ロンが期待したような至福しふくの休息時間ではなく、山のように出される宿題を必死にこなすための時間だった。
毎日試験を受けるような勉強をしなければならないだけでなく、授じゅ業ぎょうの内容もずっと厳きびしいものになっていた。このごろハリーは、マクゴナガル先生の言うことが半分もわからないほどだった。ハーマイオニーでさえ、一度か二度、マクゴナガル先生に説明の繰くり返しを頼むことがあった。ハーマイオニーにとっては憤懣ふんまんの種だったが、「半はん純じゅん血けつのプリンス」のおかげで、信じがたいことに、「魔ま法ほう薬やく学がく」が突然ハリーの得意科目になった。
いまや無む言ごん呪じゅ文もんは、「闇やみの魔ま術じゅつに対する防ぼう衛えい術じゅつ」ばかりでなく、「呪じゅ文もん学がく」や「変へん身しん術じゅつ」でも要求されていた。談だん話わ室しつや食事の場で周まわりを見回すと、クラスメートが顔を紫色にして、まるで「ウンのない人」を飲みすぎたかのように息張いきばっているのを、ハリーはよく見かけた。実は、声を出さずに呪文を唱となえようともがいているのだと、ハリーにもわかっていた。
戸外に出て、温室に行くのがせめてもの息抜きだった。「薬やく草そう学がく」ではこれまでよりずっと危険な植物を扱っていたが、授業中、「有ゆう毒どく食しょく虫ちゅう蔓づる」に背後から突然捕まったときに、少なくとも大声を出して悪態あくたいをつくことができた。
膨大ぼうだいな量の宿題と、がむしゃらに無言呪文を練習するためとに時間を取られ、結果的に、ハリー、ロン、ハーマイオニーは、とてもハグリッドを訪たずねる時間などなかった。ハグリッドは、食事のとき教きょう職しょく員いんテーブルに姿を見せなくなった。不吉な兆ちょう候こうだ。それに、廊下ろうかや校庭でときどきすれ違っても、ハグリッドは不思議にも三人に気づかず、挨あい拶さつしても聞こえないようだった。
「訪ねていって説明すべきよ」
二週目の土曜日の朝食で、教職員テーブルのハグリッド用の巨大な椅い子すが空っぽなのを見ながら、ハーマイオニーが言った。