プリンスの本は、新しい教科書のような顔をして、一方、フローリシュ・アンド・ブロッツの本は、どこから見ても中古本のような顔ですましていた。
「スラグホーンには新しいのを返すよ。文句はないはずだ。九ガリオンもしたんだから」
ハーマイオニーは怒ったような、承しょう服ふくできないという顔で唇くちびるを固く結んだ。しかし、三羽目のふくろうが、目の前にその日の「日刊にっかん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん」を運んできたので気が逸それ、急いで新聞を広げ、一面に目を通した。
「誰だれか知ってる人が死んでるか?」
ロンはわざと気軽な声で聞いた。ハーマイオニーが新聞を広げるたびに、ロンは同じ質問をしていた。
「いいえ。でも吸きゅう魂こん鬼きの襲しゅう撃げきが増えてるわ」ハーマイオニーが言った。
「それに逮捕たいほが一件」
「よかった。誰?」
ハリーはベラトリックス・レストレンジを思い浮かべながら聞いた。
「スタン・シャンパイク」ハーマイオニーが答えた。
「えっ?」ハリーはびっくりした。
「『魔法使いに人気の、夜の騎士ナイトバスの車しゃ掌しょう、スタンリー・シャンパイクは、死し喰くい人びとの活動をした疑いで逮捕された。シャンパイク容よう疑ぎ者しゃ(21)は、昨夜遅く、クラッパムの自宅の強きょう制せい捜査そうさで身柄みがらを拘束こうそくされた……』」
「スタン・シャンパイクが死し喰くい人びと?」
三年前にはじめて会った、ニキビ面の青年を思い出しながらハリーが言った。
「ばかな!」
「『服ふく従じゅうの呪じゅ文もん』をかけられてたかもしれないぞ」ロンがもっともなことを言った。
「何でもありだもんな」
「そうじゃないみたい」ハーマイオニーが読みながら言った。
「この記事では、容よう疑ぎ者しゃがパブで死喰い人の秘密の計画を話しているのを、誰だれかが漏もれ聞いて、そのあとで逮捕たいほされたって」
ハーマイオニーは困惑こんわくした顔で新聞から目を上げた。
「もし『服従の呪文』にかかっていたのなら、死喰い人の計画をそのあたりで吹ふい聴ちょうしたりしないんじゃない?」