「俺おれは先生だ!」
ハグリッドがハリーを怒ど鳴なりつけた。
「先生だぞ、ポッター! 俺の家の戸を壊こわすなんて脅おどすたぁ、よくも!」
「ごめんなさい。先生」
杖をローブにしまいながら、ハリーは最後の言葉をことさら強く言った。
ハグリッドは雷かみなりに撃うたれたような顔をした。
「おまえが俺を、『先生』って呼ぶようになったのはいつからだ?」
「ハグリッドが僕を、『ポッター』って呼ぶようになったのはいつからだい?」
「ほー、利口なこった」ハグリッドが唸うなった。
「おもしれえ。俺が一本取られたっちゅうわけか? よーし、入れ。この恩知らずの小童こわっぱの……」
険悪けんあくな声でボソボソ言いながら、ハグリッドは脇わきに避よけて三人を通した。ハーマイオニーはびくびくしながら、ハリーの後ろについて急いで入った。
「そんで?」
ハリー、ロン、ハーマイオニーが巨大な木のテーブルに着くと、ハグリッドがムスッとして言った。ファングはたちまちハリーの膝ひざに頭を載のせ、ローブを涎よだれでベトベトにした。
「何のつもりだ? 俺を可哀かわいそうだと思ったのか? 俺が寂さびしいだろうとか思ったのか?」
「違う」ハリーが即座そくざに言った。
「僕たち、会いたかったんだ」
「ハグリッドがいなくて寂さびしかったわ!」ハーマイオニーがおどおどと言った。
「寂しかったって?」ハグリッドがフンと鼻はなを鳴らした。
「ああ、そうだろうよ」
ハグリッドはドスドスと歩き回り、ひっきりなしにブツブツ言いながら、巨大な銅のヤカンで紅茶を沸わかした。やがてハグリッドは、マホガニー色に煮につまった紅茶が入ったバケツ大のマグと、手製のロックケーキを一皿、三人の前に叩たたきつけた。ハグリッドの手製だろうが何だろうが、空きっ腹のハリーは、すぐに一つ摘つまんだ。