三人は、ハグリッドの代わりに数回教えたことのあるグラブリー‐プランク先生がどんなにひどい先生だったかと、口をそろえてきっぱり嘘うそをついた。結果的に、夕暮時、三人に手を振って送り出したハグリッドは、少し機嫌きげんがよさそうだった。
「腹へって死にそう」
戸が閉まったとたん、ハリーが言った。三人は誰だれもいない暗い校庭を急いだ。奥歯の一本がバリッと不吉な音を立てたときに、ハリーはロックケーキを放棄ほうきしていた。
「しかも、今夜はスネイプの罰則ばっそくがある。ゆっくり夕食を食べていられないな……」
城に入るとコーマック・マクラーゲンが大おお広ひろ間まに入るところが見えた。入口の扉とびらを入るのに二回やり直していた。一回目は扉の枠わくにぶつかって撥はね返った。ロンはご満悦まんえつでゲラゲラ笑い、そのあとから肩をそびやかして入っていったが、ハリーはハーマイオニーの腕をつかんで引き戻した。
「どうしたっていうの?」ハーマイオニーは予よ防ぼう線せんを張った。
「なら、言うけど」ハリーが小声で言った。
「マクラーゲンは、ほんとに『錯さく乱らん呪じゅ文もん』をかけられたみたいに見える。それに、あいつは君が座っていた場所のすぐ前に立っていた」
ハーマイオニーが赤くなった。
「ええ、しかたがないわ。私がやりました」
ハーマイオニーが囁ささやいた。
「でも、あなたは聞いていないけど、あの人がロンやジニーのことを何てけなしてたか! とにかく、あの人は性格が悪いわ。キーパーになれなかったときのあの人の反応、見たわよね――あんな人はチームにいてほしくないはずよ」
「ああ、そうだと思う。でも、ハーマイオニー、それってずるくないか? だって、君は監かん督生とくせい、だろ?」
ハリーはにやりと笑った。
「まあ、やめてよ」ハーマイオニーがぴしゃりと言った。
「二人とも、何やってんだ?」
ロンが怪訝けげんな顔をして、大広間への扉からまた顔を出した。
「何でもない」
ハリーとハーマイオニーは同時にそう答え、急いでロンのあとに続いた。