「あれは違う」ロンは確信を持って言った。
「あいつらは悪用していた。ハリーとかハリーの父さんは、ただ冗談でやったんだ。君は王子様が嫌いなんだよ、ハーマイオニー」
ロンはソーセージを厳いかめしくハーマイオニーに突きつけながら、つけ加えた。
「王子が君より魔法薬が上手いから――」
「それとはまったく関係ないわ!」ハーマイオニーの頬ほおが紅こう潮ちょうした。
「私はただ、何のための呪じゅ文もんかも知らないのに使ってみるなんて、とっても無責任だと思っただけ。それから、まるで称しょう号ごうみたいに『王子』って言うのはやめて。きっとばかばかしいニックネームにすぎないんだから。それに、私にはあまりいい人だとは思えないわ」
「どうしてそういう結論になるのか、わからないな」ハリーが熱くなった。
「もしプリンスが、死し喰くい人びとの走りだとしたら、得意になって『半はん純じゅん血けつ』を名乗ったりはしないだろう?」
そう言いながら、ハリーは父親が純血だったことを思い出したが、その考えを頭から押しのけた。それはあとで考えよう……。
「死し喰くい人びとの全部が純血だとはかぎらない。純血の魔法使いなんて、あまり残っていないわ」
ハーマイオニーが頑固がんこに言い張った。
「純血のふりをした、半純血が大多数だと思う。あの人たちは、マグル生まれだけを憎んでいるのよ。あなたとかロンなら、喜んで仲間に入れるでしょう」
「僕を死喰い人仲間に入れるなんてありえない!」
かっとしたロンが、こんどはハーマイオニーに向かってフォークを振り回し、フォークから食べかけのソーセージが吹っ飛んで、アーニー・マクミランの頭にぶつかった。
「僕の家族は全員、血を裏切うらぎった! 死喰い人にとっては、マグル生まれと同じぐらい憎いんだ!」
「だけど、僕のことは喜んで迎えてくれるさ」
ハリーは皮肉な言い方をした。
「連中が躍起やっきになって僕のことを殺そうとしなけりゃ、大の仲良しになれるだろう」
これにはロンが笑った。ハーマイオニーでさえ、しぶしぶ笑みを漏もらした。ちょうどそこへ、ジニーが現れて、気き分ぶん転てん換かんになった。
「こんちはっ、ハリー、これをあなたに渡すようにって」
羊よう皮ひ紙しの巻紙まきがみに、見覚えのある細長い字でハリーの名前が書いてある。
「ありがと、ジニー……ダンブルドアの次の授じゅ業ぎょうだ!」
巻紙を勢いよく開き、中身を急いで読みながら、ハリーはロンとハーマイオニーに知らせた。
「月曜の夜!」
ハリーは急に気分が軽くなり、うれしくなった。
「ジニー、ホグズミードに一いっ緒しょに行かないか?」ハリーが誘さそった。
「ディーンと行くわ――向こうで会うかもね」ジニーは手を振って離れながら答えた。