ハリーもほかの三人と一緒に、マクゴナガル先生に従って上じょう階かいの先生の部屋に行った。霙の打ちつける窓ガラスが、窓枠まどわくの中でガタガタ揺ゆれていた。火ひ格ごう子しの上で火が爆はぜているにもかかわらず、部屋は薄寒うすざむかった。マクゴナガル先生はドアを閉め、さっと机の向こう側に回って、ハリー、ロン、ハーマイオニー、そしてまだすすり泣いているリーアンと向き合った。
「それで?」先生は鋭い口調で言った。「何があったのですか?」
嗚咽おえつを抑おさえるのに何度も言葉を切りながら、リーアンはたどたどしくマクゴナガル先生に話した。ケイティが「三本の箒ほうき」のトイレに入り、どこの店の物ともわからない包みを手にして戻もどってきたこと、ケイティの表情が少し変だったこと、得体えたいの知れない物を届けると約束することが適切てきせつかどうかで口論になったこと、口論の果てに包みの奪うばい合いになり、包みが破れて開いたこと。そこまで話すと、リーアンは感情が昂たかぶり、それ以上一言も聞き出せない状じょう態たいだった。
「結構けっこうです」マクゴナガル先生の口調は、冷たくはなかった。
「リーアン、医務室においでなさい。そして、マダム・ポンフリーから何かショックに効きく物をもらいなさい」
リーアンが部屋を出ていった後、マクゴナガル先生はハリー、ロン、ハーマイオニーに顔を向けた。
「ケイティがネックレスに触ふれたとき、何が起こったのですか?」
「宙ちゅうに浮きました」ロンやハーマイオニーが口を開かないうちに、ハリーが言った。
「それから悲鳴を上げはじめて、そのあとに落下しました。先生、ダンブルドア校長にお目にかかれますか?」
「ポッター、校長先生は月曜日までお留守です」マクゴナガル先生が驚いた表情で言った。
「留守?」ハリーは憤慨ふんがいしたように繰くり返した。
「そうです、ポッター、お留守です!」マクゴナガル先生はピシッと言った。
「しかし、今回の恐ろしい事件に関してのあなたの言い分でしたら、私わたくしに言ってもかまわないはずです!」