ハリーは一いっ瞬しゅん迷った。マクゴナガル先生は、秘密を打ち明けやすい人ではない。ダンブルドアには、いろいろな意味でもっと畏い縮しゅくさせられるが、それでも、どんなに突とっ拍ぴょう子しもない説でも嘲ちょう笑しょうされる可能性が少ないように思われた。しかし、こんどのことは生死に関わる。笑い者になることなど心配している場合ではない。
「先生、僕は、ドラコ・マルフォイがケイティにネックレスを渡したのだと思います」
ハリーの脇わきで、明らかに当惑とうわくしたロンが、鼻はなをこすり、一方ハーマイオニーは、ハリーとの間に少し距離きょりを置きたくてしかたがないかのように、足をもじもじさせた。
「ポッター、それは由ゆ々ゆしき告発こくはつです」
衝しょう撃げきを受けたように間を置いたあと、マクゴナガル先生が言った。
「証しょう拠こがありますか?」
「いいえ」ハリーが言った。
「でも……」そしてハリーは、マルフォイを追跡ついせきしてボージン・アンド・バークスに行ったこと、三人が盗み聞きしたマルフォイとボージンの会話のことを話した。
ハリーが話し終わったとき、マクゴナガル先生はやや混乱した表情だった。
「マルフォイは、ボージン・アンド・バークスに何か修理する物を持っていったのですか?」
「違います、先生。ボージンから何かを修理する方法を聞き出したかっただけです。物は持っていませんでした。でもそれが問題ではなくて、マルフォイは同時に何かを買ったんです。僕はそれがあのネックレスだと――」
「マルフォイが、似たような包みを持って店から出てくるのを見たのですか?」
「いいえ、先生。マルフォイはボージンに、それを店で保管しておくようにと言いました――」
「でも、ハリー」ハーマイオニーが口を挟はさんだ。
「ボージンがマルフォイに、品物を持って行ってはどうかと言ったとき、マルフォイは『いいや』って――」
「それは、自分が触さわりたくなかったからだ。はっきりしてる!」ハリーがいきり立った。
「マルフォイは実はこう言ったわ。『そんな物を持って通りを歩いたら、どういう目で見られると思うんだ?』」ハーマイオニーが言った。
「そりゃ、ネックレスを手に持ってたら、ちょっと間が抜けて見えるだろうな」
ロンが口を挟はさんだ。