「この週末はどこにいらしたのですか、先生?」
図に乗りすぎかもしれないと思う気持は強かったが、ハリーはあえて質問した。フィニアス・ナイジェラスも明らかにそう思ったらしく、低く舌打ちして非難ひなんした。
「いまはむしろ言わずにおこうぞ」ダンブルドアが言った。
「しかしながら、時が来きたればきみに話すことになるじゃろう」
「話してくださるんですか?」ハリーが驚いた。
「いかにも、そうなるじゃろう」
そう言うと、ダンブルドアはローブの中から新たな銀色の想おもい出の瓶びんを取り出し、杖つえで軽く叩たたいてコルク栓せんを開けた。
「先生」ハリーが遠えん慮りょがちに言った。
「ホグズミードでマンダンガスに出会いました」
「おう、そうじゃ。マンダンガスがきみの遺産いさんに、手癖てくせの悪い侮ぶ辱じょくを加えておるということは、すでに気づいておる」
ダンブルドアがわずかに顔をしかめた。
「あの者は、きみが『三本の箒ほうき』の外で声をかけて以来、地下に潜もぐってしもうた。おそらく、わしと顔を合わせるのを恐れてのことじゃろう。しかし、これ以上、シリウスの昔の持ち物を持ち逃げすることはできぬゆえ、安心するがよい」
「あの卑劣ひれつな穢けがれた老いぼれめが、ブラック家伝来の家宝を盗んでいるのか?」
フィニアス・ナイジェラスが激怒げきどして、荒々しく額がくから出ていった。グリモールド・プレイス十二番地の自分の肖しょう像ぞう画がを訪たずねていったに違いない。
「先生」しばらくして、ハリーが聞いた。
「ケイティの事件のあとに、僕がドラコ・マルフォイについて言ったことを、マクゴナガル先生からお聞きになりましたか?」
「きみが疑っているということを、先生が話してくださった。いかにも」
ダンブルドアが言った。
「それで、校長先生は――?」
「ケイティの事件に関わったと思われる者は誰だれであれ、取り調べるようわしが適切てきせつな措そ置ちを取る」ダンブルドアが言った。
「しかし、わしのいまの関心事は、ハリー、我々の授じゅ業ぎょうじゃ」