次の日、ハリーの最初の授じゅ業ぎょうは薬やく草そう学がくだった。朝食の席では盗み聞きされる恐れがあるので、ロンとハーマイオニーにダンブルドアの授業のことを話せなかった。温室に向かって野菜畑を歩いているときに、ハリーは二人に詳くわしく話して聞かせた。週末の過酷かこくな風はやっと治おさまっていたが、また不気味な霧きりが立ち込めていたので、いくつかある温室の中から目的の温室を探すのに、ふだんより少しよけいに時間がかかった。
「ウワー、ぞっとするな。少年の『例れいのあの人』か」
ロンが小声で言った。三人は今学期の課題かだいである「スナーガラフ」の節ふしくれだった株かぶの周まわりに陣取じんどり、保ほ護ご手て袋ぶくろを着けるところだった。
「だけど、ダンブルドアがどうしてそんなものを見せるのか、僕にはまだわかんないな。そりゃ、おもしろいけどさ、でも、何のためだい?」
「さあね」
ハリーはマウスピースをはめながら言った。
「だけど、ダンブルドアは、それが全部重要で、僕が生き残るのに役に立つって言うんだ」
「すばらしいと思うわ」ハーマイオニーが熱っぽく言った。
「できるだけヴォルデモートのことを知るのは、とても意味のあることよ。そうでなければ、あの人の弱点を見つけられないでしょう?」
「それで、この前のスラグホーン・パーティはどうだったの?」
マウスピースをはめたまま、ハリーがモゴモゴと聞いた。
「ええ、まあまあおもしろかったわよ」
ハーマイオニーがこんどは保護用のゴーグルをかけながら言った。
「そりゃ、先生は昔の生徒だった有名人のことをだらだら話すけど。それに、マクラーゲンをそれこそちーやほーやするけど。だってあの人はいろいろなコネがあるから。でも、本当においしい食べ物があったし、それにグウェノグ・ジョーンズに紹しょう介かいしてくれたわ」
「グウェノグ・ジョーンズ?」
ロンの目が、ゴーグルの下で丸くなった。
「あのグウェノグ・ジョーンズ? ホリヘッド・ハーピーズの?」
「そうよ」ハーマイオニーが答えた。
「個人的には、あの女ひとちょっと自じ意い識しき過か剰じょうだと思ったけど、でも――」