「とにかく」
ハーマイオニーは、たったいま木の株が三人を襲しゅう撃げきしたことなど忘れたかのように、中断した会話を続けた。
「スラグホーンはクリスマス・パーティをやるつもりよ、ハリー。これはどう足あ掻がいても逃げられないわね。だって、あなたが来られる夜にパーティを開こうとして、あなたがいつなら空いているかを調べるように、私に頼んだんですもの」
ハリーは呻うめいた。一方ロンは、種を押しつぶそうと、立ち上がって両手でボウルの中の種を押さえ込み、力ちから任まかせに押していたが、怒ったように言った。
「それで、そのパーティは、またスラグホーンのお気に入りだけのためなのか?」
「スラグ・クラブだけ。そうね」ハーマイオニーが言った。
種がロンの手の下から飛び出して温室のガラスにぶつかり、跳はね返ってスプラウト先生の後頭部に当たり、先生の古い継つぎだらけの帽子ぼうしを吹っ飛ばした。ハリーが種を取って戻もどってくると、ハーマイオニーが言い返していた。
「いいこと、私が名前をつけたわけじゃないわ。『スラグ・クラブ』なんて――」
「『スラグ・ナメクジ・クラブ』」
ロンが、マルフォイ級の意地の悪い笑いを浮かべて繰くり返した。
「ナメクジ集団じゃなあ。まあ、パーティを楽しんでくれ。いっそマクラーゲンとくっついたらどうだい。そしたらスラグホーンが、君たちをナメクジの王様と女王様にできるし――」
「クリスマスは、お客様を招しょう待たいできるの」
ハーマイオニーは、なぜか茹ゆで上がったようにまっ赤になった。
「それで、私、あなたもどうかって誘さそおうと思っていたの。でも、そこまでばかばかしいって思うんだったら、どうでもいいわ!」
ハリーは突然、種がもっと遠くまで飛んでくれればよかったのに、と思った。そうすればこの二人のそばにいなくてすむ。二人ともハリーに気づいていなかったが、ハリーは種の入ったボウルを取り、考えられるかぎりやかましく激はげしい方法で、種を割りはじめた。残念なことに、それでも会話は細さい大だい漏もらさず聞こえてきた。