「ジニー、どこに行くんだ?」ハリーが叫んだ。
選手たちが空中で塊かたまりになって抱きつき合い、ハリーが身動きできないでいると、ジニーだけがそこを通り越して飛んでいった。そして大だい音おん響きょうとともに、ジニーは解説者の演台えんだいに突っ込んだ。観衆が悲鳴を上げ、大笑いする中、グリフィンドール・チームが壊こわれた演台の脇わきに着地してみると、木こっ端ぱ微み塵じんの下敷したじききになって、ザカリアスが弱々しく動いていた。かんかんに怒ったマクゴナガル先生に、ジニーがけろりと答える声がハリーの耳に聞こえてきた。
「ブレーキをかけ忘れちゃって。すみません、先生」
ハリーは笑いながら選手たちから離れ、ジニーを抱きしめた。しかしすぐに放し、ジニーの眼差しを避さけながら、代わりに、歓声を上げているロンの背中をバンと叩たたいた。仲間割れをすべて水に流したグリフィンドール・チームは、腕を組み拳こぶしを突き上げて、サポーターに手を振りながら競きょう技ぎ場じょうから退たい出しゅつした。
更こう衣い室しつはお祭り気分だった。
「談だん話わ室しつでパーティだ! シェーマスがそう言ってた!」ディーンが嬉き々きとして叫んだ。
「行こう、ジニー! デメルザ!」
ロンとハリーの二人が、最後に更衣室に残った。外に出ようとしたちょうどそのとき、ハーマイオニーが入ってきた。両手でグリフィンドールのスカーフをねじりながら、少し困惑こんわくしたような、しかしきっぱり決心した顔だった。
「ハリー、お話があるの」ハーマイオニーが大きく息を吸すった。
「あなた、やってはいけなかったわ。スラグホーンの言ったことを聞いたはずよ。違法いほうだわ」
「どうするつもりなんだ? 僕たちを突き出すのか?」ロンが詰め寄った。
「二人ともいったい何の話だ?」
忍び笑いを二人に見られないように、背中を向けたままユニフォームを掛かけながら、ハリーが言った。