ハリーが到とう着ちゃくしたとき、グリフィンドールの祝しゅく賀がパーティは宴えんもたけなわだったが、ハリーはハーマイオニーの姿を見つけることができなかった。ハリーの登場で、新たに歓声かんせいと拍はく手しゅが湧わき、ハリーはたちまち、祝いの言葉を述べる群ぐん集しゅうに囲まれてしまった。試合の様子を逐一ちくいち聞きたがるクリービー兄弟を振りきったり、ハリーのどんなつまらない話にも笑ったり睫毛まつげをパチパチさせたりする大勢の女の子たちに囲まれてしまったりで、ロンを見つけるまでに時間がかかった。
スラグホーンのクリスマス・パーティに一いっ緒しょに行きたいと、しつこくほのめかすロミルダ・ベインをやっと振り払い、人混みを掻かき分けて飲み物のテーブルのほうに行こうとしていたハリーは、ジニーにばったり出会った。ピグミーパフのアーノルドを肩に載のせ、足下あしもとではクルックシャンクスが、期き待たい顔がおで鳴いていた。
「ロンを探してるの?」
ジニーはわが意を得たりとばかりニヤニヤしている。
「あそこよ、あのいやらしい偽ぎ善ぜん者しゃ」
ハリーはジニーが指した部屋の隅すみを見た。そこに、部屋中から丸見えになって、ロンがラベンダー・ブラウンと、どの手がどちらの手かわからないほど密接みっせつに絡からみ合って立っていた。
「ラベンダーの顔を食べてるみたいに見えない?」ジニーは冷静れいせいそのものだった。
「でもロンは、テクニックを磨みがくのに何かやる必要があるしね。いい試合だったわ、ハリー」
ジニーはハリーの腕を軽く叩たたいた。ハリーは胃の中が急にザワーッと騒ぐのを感じた。しかし、ジニーはバタービールのお代わりをしにいってしまった。クルックシャンクスが黄色い目をアーノルドから離さずに、後ろからトコトコついていった。
ハリーは、すぐには顔を現しそうにないロンから目を離した。ちょうどそのとき、肖しょう像ぞう画がの穴が閉まった。そこから豊かな栗色くりいろの髪かみがすっと消えるのを見たような気がして、ハリーは気持が沈んだ。
ロミルダ・ベインをまたまたかわし、ハリーはすばやく前進して「太ふとった婦人レディ」の肖像画を押し開けた。外の廊下ろうかは誰だれもいないように見えた。
「ハーマイオニー?」
鍵かぎのかかっていない最初の教室で、ハリーはハーマイオニーを見つけた。さえずりながらハーマイオニーの頭の周まわりに小さな輪を作っている黄色い小鳥たちのほかは誰だれもいない教室で、ぽつんと先生の机に腰掛こしかけていた。いましがた創つくり出した小鳥に違いない。こんなときにこれだけの呪じゅ文もんを使うハーマイオニーに、ハリーはほとほと感心した。