パーバティはことさらにっこりした。変へん身しん術じゅつのクラスでハーマイオニーを笑ったことを後ろめたく思っているのだろうと、ハリーは察した。振り返ると、ハーマイオニーもにっこりを返している。あろうことか、もっと明るくにっこりだ。女ってやつは、ときに非常に不ふ可か思し議ぎだ。
「こんばんは、パーバティ!」
ハーマイオニーは、ロンとラベンダーを完璧かんぺきに無視しながら言った。
「夜はスラグホーンのパーティに行くの?」
「招しょう待たいなしよ」パーバティは憂鬱ゆううつそうに言った。「でも、行きたいわ。とってもすばらしいみたいだし……あなたは行くんでしょう?」
「ええ、八時にコーマックと待ち合わせて、二人で――」
詰まった流しから吸きゅう引いんカップを引き抜くような音がして、ロンの顔が現れた。ハーマイオニーはと言えば、見ざる聞かざるを決め込んだ様子だった。
「――一緒にパーティに行くの」
「コーマックと?」パーバティが聞き返した。
「コーマック・マクラーゲン、なの?」
「そうよ」ハーマイオニーが優やさしい声で言った。
「もう少しで」
ハーマイオニーが、やけに言葉に力を入れた。
「グリフィンドールのキーパーになるところだった人よ」
「それじゃ、あの人とつき合ってるの?」パーバティが目を丸くした。
「あら――そうよ――知らなかった?」
ハーマイオニーがおよそ彼女らしくないクスクス笑いをした。
「まさか!」パーバティは、このゴシップ種ネタをもっと知りたくてうずうずしていた。
「ウワー、あなたって、クィディッチ選手が好きなのね? 最初はクラム、こんどはマクラーゲン……」
「私が好きなのは、本当にいいクィディッチ選手よ」
ハーマイオニーが微笑ほほえんだまま訂正ていせいした。
「じゃ、またね……もうパーティに行く仕度したくをしなくちゃ……」
ハーマイオニーは行ってしまった。ラベンダーとパーバティは、すぐさま額ひたいを突き合わせ、マクラーゲンについて聞いていたもろもろの話から、ハーマイオニーについて想像していたあらゆることまで、この新しい展開てんかいを検討けんとうしはじめた。ロンは奇き妙みょうに無表情で、何も言わなかった。ハリーは一人ひとり黙だまって、女性とは、復ふく讐しゅうのためならどこまで深く身を落とすことができるものなのかと、しみじみ考えていた。