「ロン!」おばさんがかんかんになった。
「ナイフを投げつけるところなんか、二度と見せないでちょうだい!」
「わかったよ」ロンが言った。「見つからないようにするさ」
芽キャベツの山のほうに向き直りながら、ロンがちょろりとつけ足した。
「フレッド、ジョージ。リーマスが今晩こんばんやってくるの。それで、二人には悪いんだけどね、ビルをあなたたちの部屋に押し込まないと」
「かまわないよ」ジョージが言った。
「それで、チャーリーは帰ってこないから、ハリーとロンが屋や根ね裏うら部べ屋や。それから、フラーとジニーが一いっ緒しょの部屋になれば――」
「――そいつぁ、ジニーにとっちゃ、いいクリスマスだぞ――」フレッドが呟つぶやいた。
「――それでみんなくつろげるでしょう。まあ、とにかく全員寝るところだけはあるわ」
ウィーズリーおばさんが少し煩わずらわしげに言った。
「じゃあ、パーシーが仏ぶっ頂ちょう面づらをぶら下げてこないことだけは、確実なんだね?」
フレッドが聞いた。
ウィーズリーおばさんは、答える前に背を向けた。
「ええ、あの子は、きっと忙しいのよ。魔法省で」
「さもなきゃ、世界一の間抜けだ」
ウィーズリーおばさんが台所を出ていくときに、フレッドが言った。
「そのどっちかさ。さあ、それじゃ、ジョージ、出かけるとするか」
「二人とも、何するつもりなんだ?」ロンが聞いた。
「芽めキャベツ、手伝ってくれないのか? ちょっと杖つえを使ってくれたら、僕たちも自由になれるぞ!」
「いや、そのようなことは、できませんね」フレッドがまじめな口調で言った。
「魔法を使わずに芽キャベツの剥むき方を学習することは、人じん格かく形けい成せいに役立つ。マグルやスクイブの苦労を理解できるようになる――」
「――それに、ロン、助けてほしいときには――」
ジョージが紙飛行機をロンに投げ返しながら言い足した。
「ナイフを投げつけたりはしないものだ。後学こうがくのために言っておきますがね。俺おれたちは村に行く。雑ざっ貨か屋やにかわいい娘こが働いていて、俺のトランプ手品がすんばらしいと思っているわけだ……まるで魔法みたいだとね……」