「あなたはあのトンクスと同じでーす」
ビルにお礼のキスをしたあと、フラーがロンに言った。
「あのいひと、いつもぶつかって――」
「あのかわいいトンクスを、今日招しょう待たいしたのだけど――」
ウィーズリーおばさんは、やけに力を入れてにんじんをテーブルに置きながら、フラーを睨にらみつけた。
「でも来ないのよ。リーマス、最近あの娘こと話をした?」
「いや、私は誰だれともあまり接せっ触しょくしていない」ルーピンが答えた。
「しかし、トンクスは一いっ緒しょに過ごす家族がいるのじゃないか?」
「ふむむむ」おばさんが言った。「そうかもしれないわ。でも、私は、あの娘こが一人でクリスマスを過ごすつもりだという気がしてましたけどね」
おばさんは、トンクスでなくフラーが嫁よめに来るのはルーピンのせいだとでも言うように、ちょっと怒った目つきでルーピンを見た。しかし、テーブルの向こうで、フラーが自分のフォークでビルに七しち面めん鳥ちょう肉にくを食べさせているのをちらりと見たハリーは、おばさんがとっくに勝ち目のなくなった戦いを挑いどんでいると思った。同時に、トンクスに関して聞きたいことがあったのを、ハリーは思い出した。守しゅ護ご霊れいのことは何でも知っているルーピンこそ、聞くには持ってこいじゃないか?
「トンクスの守護霊の形が変化したんだ」ハリーがルーピンに話しかけた。
「少なくとも、スネイプがそう言ってたよ。そんなことが起こるとは知らなかったな。守護霊は、どうして変わるの?」
ルーピンは七面鳥をゆっくりと噛かんで飲み込んでから、考え込むように話した。
「ときにはだがね……強い衝しょう撃げきとか……精せい神しん的てきな動揺どうようとか……」
「大きかった。脚あしが四本あった」
ハリーは急にあることを思いついて愕然がくぜんとし、声を落として言った。
「あれっ……もしかしてあれは――?」
「アーサー!」
ウィーズリーおばさんが突然声を上げた。椅い子すから立ち上がり、胸に手を当てて、台所の窓から外を見つめている。
「あなた――パーシーだわ!」
「なんだって?」
ウィーズリーおじさんが振り返った。全員が急いで窓に目を向け、ジニーはよく見ようと立ち上がった。たしかに、そこにパーシー・ウィーズリーの姿があった。雪の積もった中庭を、角縁つのぶちメガネを陽ひの光でキラキラさせながら、大股おおまたでやって来る。しかし、一人ではなかった。
「アーサー、大臣と一いっ緒しょだわ!」
そのとおりだった。ハリーが「日刊にっかん予よ言げん者しゃ新しん聞ぶん」で見た顔が、少し足を引きずりながら、パーシーのあとを歩いてくる。白髪しらが交じりのたてがみのような髪かみにも、黒いマントにも雪があちこちについている。誰だれも口をきかず、おじさんとおばさんが雷かみなりに撃うたれたように顔を見合わせたとたん、裏口うらぐちの戸が開き、パーシーがそこに立っていた。