「ルーピンは元気?」
「あんまり」
ハリーは、ルーピンが狼おおかみ人にん間げんの中での任務にんむに就ついていることや、どんな難むずかしい問題に直面しているかを話して聞かせた。
「フェンリール・グレイバックって、聞いたことある?」
「ええ、あるわ!」ハーマイオニーはぎくりとしたように言った。
「それに、あなたも聞いたはずよ、ハリー!」
「いつ? 魔法史で? 君、知ってるじゃないか、僕がちゃんと聞いてないって……」
「ううん、魔法史じゃないの――マルフォイがその名前でボージンを脅おどしてたわ!」
ハーマイオニーが言った。
「『夜の闇ノクターン横よこ丁ちょう』で。憶おぼえてない? グレイバックは昔から自分の家族と親しいし、ボージンがちゃんと取り組んでいるかどうかを、グレイバックが確かめるだろうって!」
ハリーは唖然あぜんとしてハーマイオニーを見た。
「忘れてたよ! だけど、これで、マルフォイが死し喰くい人びとだってことが証しょう明めいされた。そうじゃなかったら、グレイバックと接せっ触しょくしたり、命令したりできないだろ?」
「その疑いは濃こいわね」ハーマイオニーは息をひそめて言った。「ただし……」
「いい加減かげんにしろよ」ハリーはいらいらしながら言った。「こんどは言い逃れできないぞ!」
「うーん……嘘うその脅しだった可能性があるわ」
「君って、すごいよ、まったく」ハリーは頭を振った。
「誰だれが正しいかは、そのうちわかるさ……ハーマイオニー、君も前ぜん言げん撤てっ回かいってことになるよ。魔法省みたいに。あっ、そうだ。僕、ルーファス・スクリムジョールとも言い争いした……」
それからあとは、魔法大臣をけなし合うことで、二人は仲良く過ごした。ハーマイオニーもロンと同じで、昨年ハリーにあれだけの仕打ちをしておきながら、魔法省がこんどはハリーに助けを求めるとは、まったくいい神経しんけいしてる、という意見だった。