次の朝、六年生にとっては、ちょっと驚くうれしいニュースで新学期が始まった。談だん話わ室しつの掲けい示じ板ばんに、夜の間に大きな告知こくちが貼はり出されていた。
ハリーとロンは、掲示板の前で押し合いへし合いしながら名前を書き込んでいる群れに加わった。ロンが羽根ペンを取り出して、ハーマイオニーのすぐあとに名前を書き入れようとしていたとき、ラベンダーが背後に忍び寄り、両手でロンに目隠めかくしして、歌うように言った。
「だ~れだ? ウォン‐ウォン?」
ハリーが振り返ると、ハーマイオニーがつんけんと立ち去っていくところだった。ハリーは、ロンやラベンダーと一いっ緒しょにいる気はさらさらなかったので、ハーマイオニーのあとを追った。ところが驚いたことに、ロンは肖しょう像ぞう画がの穴のすぐ外で、二人に追いついた。耳がまっ赤で、不ふ機き嫌げんな顔をしていた。ハーマイオニーは一言も言わず、足を速めてネビルと並んで歩いた。
「それじゃ――『姿すがた現あらわし』は――」
ロンの口調は、たったいま起こったことを口にするなと、ハリーにはっきり釘くぎを刺さしていた。
「きっと楽チンだぜ、な?」
「どうかな」ハリーが言った。
「自分でやれば少しましなのかも知れないけど、ダンブルドアが付つき添そって連れていってくれたときは、あんまり楽しいとは思わなかった」
「君がもう経験者だってこと、忘れてた……一回目のテストでパスしなきゃな」
ロンが心配そうに言った。
「フレッドとジョージは一回でパスだった」
「でも、チャーリーは失敗したろう?」
「ああ、だけど、チャーリーは僕よりでかい」
ロンは両腕を広げて、ゴリラのような格好かっこうをした。
「だから、フレッドもジョージもあんまりしつこくからかわなかった……少なくとも面と向かっては……」
「本番のテストはいつ?」
「十七歳になった直後。僕はもうすぐ。三月!」
「そうか。だけど、ここではどうせ『姿現わし』できないはずだ。城の中では……」
「それは関係ないだろ? やりたいときにいつでも『姿現わし』できるんだって、みんなに知れることが大事さ」