次の日、ハリーはロンとハーマイオニーに、ただし二人別々に、ダンブルドアの宿題を打ち明けた。ハーマイオニーが相変わらず、軽蔑けいべつの眼差しを投げる瞬しゅん間かん以外は、ロンと一いっ緒しょにいることを拒こばんでいたからだ。
ロンは、ハリーならスラグホーンのことは楽勝だと考えていた。
「あいつは君に惚ほれ込んでる」
朝食の席で、フォークに刺さした玉子焼きの大きな塊かたまりを気楽に振りながら、ロンが言った。
「君が頼めばどんなことだって断ことわりゃしないだろ? お気に入りの魔法薬の王子様だもの。今日の午後の授じゅ業ぎょうのあとにちょっと残って、聞いてみろよ」
しかし、ハーマイオニーの意見はもっと悲ひ観かん的てきだった。
「ダンブルドアが聞き出せなかったのなら、スラグホーンはあくまで真相しんそうを隠すつもりに違いないわ」
休み時間中、人気ひとけのない雪の中庭での立ち話で、ハーマイオニーが低い声で言った。
「ホークラックス……ホークラックス……聞いたこともないわ……」
「君が?」
ハリーは落胆らくたんした。ホークラックスがどういう物か、ハーマイオニーなら手がかりを教えてくれるかもしれないと期待していたのだ。
「相当高度な、闇やみの魔ま術じゅつに違いないわ。そうでなきゃ、ヴォルデモートが知りたがるはずないでしょう? ハリー、その情報は、一ひと筋すじ縄なわじゃ聞き出せないと思うわよ。スラグホーンには十分慎しん重ちょうに持ちかけないといけないわ。ちゃんと戦せん術じゅつを考えて……」
「ロンは、今日の午後の授業のあと、ちょっと残ればいいっていう考えだけど……」
「あら、まあ、もしウォン‐ウォンがそう考えるんだったら、そうしたほうがいいでしょ」
ハーマイオニーはたちまちメラメラと燃え上がった。
「なにしろ、ウォン‐ウォンの判断は一度だって間違ったことがありませんからね!」
「ハーマイオニー、いい加減かげんに――」
「お断りよ!」
いきり立ったハーマイオニーは、踝くるぶしまで雪に埋まったハリーをひとり残し、荒々しく立ち去った。
近ごろの魔ま法ほう薬やくのクラスは、ハリー、ロン、ハーマイオニーが同じ作業テーブルを使うというだけで居心地悪かった。今日のハーマイオニーは、自分の大おお鍋なべをテーブルの向こう端はしのアーニーの近くまで移動し、ハリーとロンの両方を無視していた。