「ロン? 朝食だ」
「腹へってない」
ハリーは目を丸くした。
「たったいま、君、言ったじゃ――?」
「ああ、わかった。一いっ緒しょに行くよ」ロンはため息をついた。
「だけど、食べたくない」
ハリーは何事かと、ロンをよくよく観察した。
「たったいま、大おお鍋なべチョコレートの箱を半分も食べちゃったもんな?」
「そのせいじゃない」ロンはまたため息をついた。
「君には……君には理解できっこない」
「わかったよ」
さっぱりわからなかったが、ハリーは、ロンに背を向けて寮りょうのドアを開けた。
「ハリー!」出し抜けにロンが呼んだ。
「何だい?」
「ハリー、僕、我慢がまんできない!」
「何を?」
ハリーはこんどこそ何かおかしいと思った。ロンは、かなり蒼あおい顔をして、いまにも吐はきそうだった。
「どうしてもあの女ひとのことを考えてしまうんだ!」ロンが、かすれ声で言った。
ハリーは唖然あぜんとしてロンを見つめた。こんなことになろうとは思わなかったし、そんな言葉は聞きたくなかったような気がする。ロンとはたしかに友達だが、ロンがラベンダーを「ラブ‐ラブ」と呼びはじめるようなら、ハリーとしても断固だんことした態度を取らねばならない。
「それがどうして、朝食を食べないことにつながるんだ?」
事のなりゆきに、なんとか常識の感覚を持ち込まねばと、ハリーが聞いた。
「あの女ひとは、僕の存在に気づいていないと思う」
ロンは絶ぜつ望ぼう的てきな仕種しぐさをした。
「あの女ひとは、君の存在にはっきり気づいているよ」
ハリーは戸惑とまどった。
「しょっちゅう君にイチャついてるじゃないか?」
ロン�div class="title">