「スラグホーンを、誰だれが殺したがる?」
「ダンブルドアは、ヴォルデモートがスラグホーンを味方につけたがっていたと考えている」
ハリーが言った。
「スラグホーンは、ホグワーツに来る前、一年も隠かくれていた。それに……」
ハリーは、ダンブルドアがスラグホーンからまだ引き出せない記憶のことを考えた。
「それに、もしかしたらヴォルデモートは、スラグホーンを片付けたがっているのかもしれないし、スラグホーンがダンブルドアにとって価値があると考えているのかもしれない」
「だけど、スラグホーンは、その瓶をクリスマスにダンブルドアに贈ろうと計画してたって言ったわよね」
ジニーが、ハリーにそのことを思い出させた。
「だから、毒を盛もったやつが、ダンブルドアを狙ねらっていたという可能性も同じぐらいあるわ」
「それなら、毒を盛ったのは、スラグホーンをよく知らない人だわ」
何時間も黙だまっていたハーマイオニーがはじめて口をきいたが、鼻はな風か邪ぜを引いたような声だった。
「知っている人だったら、そんなにおいしい物は、自分でとっておく可能性が高いことがわかるはずだもの」
「アーマイニー」誰だれも予想していなかったところに、ロンが嗄しわがれ声を出した。
みんなが心配そうにロンを見つめて息をひそめたが、ロンは、意味不明の言葉をしばらくブツブツ言ったきり、単たん純じゅんにいびきをかきはじめた。
病びょう棟とうのドアが急に開き、みんなが飛び上がった。ハグリッドが大股おおまたで近づいてきた。髪かみは雨あま粒つぶだらけで、石弓を手に熊皮くまがわのオーバーをはためかせ、床にイルカぐらいある大きい泥だらけの足跡あしあとをつけながらやってくる。
「一日中禁じられた森にいた!」ハグリッドが息を切らしながら言った。
「アラゴグの容態ようだいが悪くなって、俺おれはあいつに本を読んでやっとった――たったいま夕食に来たとこなんだが、そしたらスプラウト先生からロンのことを聞いた! 様子はどうだ?」
「そんなに悪くないよ」ハリーが言った。「ロンは大丈夫だって言われた」
「お見み舞まいは一度に六人までです!」マダム・ポンフリーが事務室から急いで出てきた。
「ハグリッドで六人だけど」ジョージが指摘してきした。
「あ……そう……」
マダム・ポンフリーは、ハグリッドの巨大さのせいで数人分と数えていたらしい。自分の勘かん違ちがいをごまかすのに、マダム・ポンフリーは、せかせかと、ハグリッドの足跡の泥を杖つえで掃除そうじしにいった。