ハッフルパフとのクィディッチの試合の朝、ハリーは競きょう技ぎ場じょうに行く前に、病棟に立ち寄った。ロンは相当動揺どうようしていた。マダム・ポンフリーは、ロンが興こう奮ふんしすぎるからと、試合を見にいかせてくれないのだ。
「それで、マクラーゲンの仕上がり具合はどうだ?」
ロンは心配そうに聞いた。同じことをもう二回も聞いたのを、まったく忘れている。
「もう言っただろう」ハリーが辛抱しんぼう強く答えた。
「あいつがワールドカップ級だったとしても、僕はあいつを残すつもりはない。選手全員にどうしろこうしろと指図さしずするし、どのポジションも自分のほうがうまいと思っているんだ。あいつをきれいさっぱり切るのが待ち遠しいよ。切るって言えば――」
ハリーは、ファイアボルトをつかんで立ち上がりながら言った。
「ラベンダーが見み舞まいにくるたびに、寝たふりをするのはやめてくれないか? あいつは僕までいらいらさせるんだ」
「ああ」ロンはばつの悪そうな顔をした。「うん、いいよ」
「もう、あいつとつき合いたくないなら、そう言ってやれよ」ハリーが言った。
「うん……まあ……そう簡単にはいかないだろ?」ロンはふと口をつぐんだ。
「ハーマイオニーは試合前に顔を見せるかな?」ロンが何気なさそうに聞いた。
「いいや、もうジニーと一いっ緒しょに競きょう技ぎ場じょうに行った」
「ふーん」ロンはなんだか落ち込んだようだった。
「そうか、うん、がんばれよ。こてんぱんにしてやれ、マクラー――じゃなかった、スミスなんか」
「がんばるよ」ハリーは箒ほうきを肩に担かついだ。「試合のあとでな」
ハリーは人気ひとけのない廊下ろうかを急いだ。全校生徒が外に出てしまい、競技場に向かっている途中か、もう座席に座っているかだった。ハリーは急ぎながら窓の外を見て、風の強さを計はかろうとした。そのとき、行く手で音がしたので目を向けると、マルフォイがやってくるではないか。すねて仏ぶっ頂ちょう面づらの女の子を二人連れている。