くれないわよ!」
ハーマイオニーは一段と声高こわだかに言った。
「無理やりこちらの思いどおりにさせる方法は、一つしかないわ。『服ふく従じゅうの呪じゅ文もん』だけど、それは違法いほうだし――」
「ああ、わかってるよ。ありがと」
ハリーは本から目を離さずに言った。
「だから、何か別の方法を探してるんじゃないか。ダンブルドアは、『真実薬ベリタセラム』も役に立たないって言ったんだ。でも、何かほかの薬とか、呪文とか……」
「あなた、やり方を間違えてるわ」ハーマイオニーが言った。
「あなただけが記憶を手に入れられるって、ダンブルドアがそう言ったのよ。ほかの人ができなくとも、あなたならスラグホーンを説得せっとくできるという意味に違いないわ。スラグホーンにこっそり薬を飲ませるなんていう問題じゃない。それなら誰だれだってできるもの――」
「『こうせん的』って、どう書くの?」
ロンが羊よう皮ひ紙しを睨にらんで、羽根ペンを強く振りながら聞いた。
「向かう戦じゃないみたいだし」
「違うわね」
ハーマイオニーがロンの宿題を引き寄せながら言った。
「それに『卜占ぼくせん』は『木占ぼくせん』じゃないわよ。いったいどんな羽根ペンを使っているの?」
「フレッドとジョージの『綴つづり修しゅう正せい付き』のやつさ……だけど、呪文が切れかかってるみたいだ……」
「ええ、きっとそうよ」
ハーマイオニーが、ロンのレポートの題を指差しながら言った。
「だって、宿題は『吸きゅう魂こん鬼き』について書くことで、『球きゅう根こん木き』じゃないもの。それに、あなたが名前を『ローニル・ワズリブ』に変えたなんて、記憶にないけど」
「ええっ!」ロンはまっ青さおになって羊皮紙を見つめた。
「まさか、もう一回全部書き直しかよ!」
「大丈夫よ。直せるわ」ハーマイオニーが宿題を手元に引き寄せて、杖つえを取り出した。
「愛してるよ、ハーマイオニー」
ロンは疲れたように目をこすりながら、椅い子すにドサリと座り込んだ。
ハーマイオニーはほんのり頬ほおを染そめたが、「そんなこと、ラベンダーに聞かれないほうがいいわよ」と言っただけだった。
「聞かせないよ」
ロンが、自分の両手に向かって言った。
「それとも、聞かせようかな……そしたらあいつが捨ててくれるかも……」
「おしまいにしたいんだったら、君が振ればいいじゃないか?」ハリーが言った。
「君は誰だれかを振ったことがないんだろう?」ロンが言った。
「君とチョウはただ――」
「何となく別れた、うん」ハリーが言った。
「僕とラベンダーも、そうなってくれればいいのに」
ロンが、ハーマイオニーを見ながら憂鬱ゆううつそうに言った。ハーマイオニーは黙々もくもくと、杖つえの先で綴つづりの間違いを一つずつ軽く叩たたき、羊よう皮ひ紙し上で自動修しゅう正せいさせていた。
「だけど、おしまいにしたいって仄ほのめかせば仄めかすほど、あいつはしがみついて来るんだ。巨大イカとつき合ってるみたいだよ」
「聞かせないよ」
ロンが、自分の両手に向かって言った。
「それとも、聞かせようかな……そしたらあいつが捨ててくれるかも……」
「おしまいにしたいんだったら、君が振ればいいじゃないか?」ハリーが言った。
「君は誰だれかを振ったことがないんだろう?」ロンが言った。
「君とチョウはただ――」
「何となく別れた、うん」ハリーが言った。
「僕とラベンダーも、そうなってくれればいいのに」
ロンが、ハーマイオニーを見ながら憂鬱ゆううつそうに言った。ハーマイオニーは黙々もくもくと、杖つえの先で綴つづりの間違いを一つずつ軽く叩たたき、羊よう皮ひ紙し上で自動修しゅう正せいさせていた。
「だけど、おしまいにしたいって仄ほのめかせば仄めかすほど、あいつはしがみついて来るんだ。巨大イカとつき合ってるみたいだよ」