「言っておきますけど、ハリー、このことに関しては、ばかばかしいプリンスは助けて
「できたわ」二十分ぐらいしてから、ハーマイオニーが宿題をロンに返した。
「感かん謝しゃ感かん激げき」ロンが言った。
「結論を書くから、君の羽根ペン貸してくれる?」
ハリーは、プリンスの書き込みに、何も役に立つものが見つからなかったので、あたりを見回した。談だん話わ室しつに残っているのは、もう三人だけになっていた。シェーマスが、スネイプと宿題を呪のろいながら寝室しんしつに上がっていったばかりだった。暖炉だんろの火が爆はぜる音と、ロンがハーマイオニーの羽根ペンを使って「吸きゅう魂こん鬼き」の最後の一節いっせつを書くカリカリという音しか聞こえなかった。ハリーがプリンスの教科書を閉じ、欠伸あくびをしたそのとき――。
バチン
ハーマイオニーが小さな悲鳴を上げ、ロンはレポート一杯にインクをこぼした。
「クリーチャー!」ハリーが言った。
屋敷やしきしもべ妖よう精せいは深々とお辞じ儀ぎをして、節ふしくれだった自分の足の親指に向かって話しかけた。
「ご主人様は、マルフォイ坊ちゃんが何をしているか、定期的な報告をお望みでしたから、クリーチャーはこうして――」
バチン
ドビーがクリーチャーの横に現れた。帽子ぼうし代わりのティーポット・カバーが、横にずれている。
「ドビーも手伝っていました、ハリー・ポッター!」
ドビーはクリーチャーを恨うらみがましい目で見ながら、キーキー声で言った。
「そしてクリーチャーはドビーに、いつハリー・ポッターに会いにいくかを教えるべきでした。二人で一いっ緒しょに報告するためです!」
「何事なの?」
突然の出現に、ハーマイオニーはまだ衝しょう撃げきから立ち直れない顔だった。
「ハリー、いったい何が起こっているの?」
ハリーはどう答えようかと迷った。ハーマイオニーには、クリーチャーとドビーにマルフォイを尾行びこうさせたことを話していなかった。屋敷やしきしもべ妖よう精せいのことになると、ハーマイオニーはいつも非常に敏感びんかんになるからだ。